韓国の深刻な少子化問題は、社会の様々な側面に影響を及ぼしていますが、中でも国防における兵力維持への懸念は日に日に高まっています。少子化が進むことで、徴兵制を維持することが難しくなり、安全保障上の課題が生じている現状を、ソウルの街角で見聞きした若者たちの声と共に探ります。
若者の本音:兵役とキャリア、そして不公平感
ソウルの繁華街を歩く兵役中の若者
ソウル大学の朴哲秀さん(22歳・仮名)は、1年半の兵役を終えて復学したばかり。しかし、同期の女子学生たちが大学院に進学し、研究活動に励む姿を目の当たりにし、複雑な心境を抱えています。「男性は兵役で勉学やキャリア形成の機会を逸する一方で、女性はキャリアを積むことができる。この状況は不公平ではないか」と、朴さんは訴えます。
ソウルの繁華街を歩く兵役中の若者
韓国では、男性の兵役は憲法で定められており、18歳から21か月間の軍務に服する義務があります。兵役期間は短縮されたものの、学業やキャリアへの影響は依然として大きく、若者たちの不満は根強いものとなっています。
女性兵役義務化?揺れる韓国社会
ソウル中心部で行われた「国軍の日」を祝う軍事パレード
会社員の李憲元さん(42歳)は、北朝鮮の脅威を背景に、韓国の安全保障に対する懸念を深めています。少子化による兵力不足は、国防上の大きなリスクとなる可能性があり、「女性にも兵役義務を課すべきではないか」という議論が韓国社会で浮上しているといいます。
韓国伝統の遊びを楽しむ家族連れ
少子化対策に巨額の予算を投じてきた韓国政府ですが、目に見える効果は出ていません。専門家の中には、政府の対策の不十分さを指摘する声も上がっています。韓国の少子化問題は、日本にとっても決して他人事ではありません。
少子化の波紋:家族の風景と社会の未来
ソウルの繁華街では、若者たちに交ざって、親子連れの姿も目についた
ソウルの繁華街では、若者たちだけでなく、家族連れも多く見られます。しかし、少子化の進行は、将来の韓国社会の在り方に大きな影を落としています。
写真:47NEWS
少子化問題の解決策を探るためには、社会全体の意識改革が必要不可欠です。政府、企業、そして個人がそれぞれの立場でできることを考え、実行していくことが求められています。
ソウルの憲法裁判所近くで、尹錫悦大統領の罷免反対を訴える支持者たち
韓国の少子化問題は、単なる人口減少にとどまらず、社会の基盤を揺るがす深刻な問題へと発展しています。未来の韓国社会のために、今こそ真剣に取り組むべき課題と言えるでしょう。