最近、筆者はチェーンカフェについて言及することが多い。喫茶店市場が飽和しているからか、各社が新しい展開を見せ始めていて面白いからだ。
【画像14枚】珈琲系チェーンの代表格・コメダ。「厚利少売」モデルは他企業にも多大な影響を与えた
その中で、ふと、気付いたことがある。「珈琲」と店名に付く店が、最近やけに多いのだ。
コメダ珈琲店、コナズ珈琲、むさしの森珈琲、星乃珈琲店、倉式珈琲店、高倉町珈琲など、「コーヒー」ではなく「珈琲」と漢字なのだ。
ただの店名表記の話でしょ……と思うかもしれない。しかし、そう侮ってはいけない。実はよく見ると、これら近年登場した「珈琲系」カフェはある共通点を持っている。そしてその共通点は喫茶店市場の変化をよく表しているのだ。
「コーヒー」から「珈琲」へ。これが意味するところを解説しよう。
■2010年代に増えた「珈琲系」カフェ
「珈琲系」が増えてきたのは、2010年代だ。
歴史を振り返ると、「珈琲館」(1970年〜)、「椿屋珈琲店(1996年〜)」は古くから存在していたが、やはりターニングポイントはコメダ珈琲店だろう。現在では、カフェチェーンの中で3番目に店舗数が多いチェーンになっている。
コメダが存在感を増してきたのは、株式会社コメダを設立して本格的にフランチャイズ展開をはじめた1993年以降。東京23区初出店は2007年で、2010年代に全国展開に拍車をかけた。
それ以外でも上島珈琲店は2003年、倉式珈琲店は2008年、星乃珈琲店は2011年に店舗の展開を開始。コナズ珈琲は2013年、高倉町珈琲は2014年、むさしの森珈琲は2015年に1号店を出店している。
さらに、セルフ式カフェとして知られるドトールコーヒーも、「ドトール珈琲農園/珈琲店」を2017年から始めている。2000年代後半から2010年代にかけて、ぐっとその数が増えている。
現在のチェーンカフェの店舗ランキングでは、上位10位の中でコメダ珈琲店、上島珈琲店、珈琲館がランクイン。まだ店舗数のうえでの存在感は大きくないが、新規チェーンの多くが「珈琲」と入れているのは、面白い現象だ。