米価高騰続く中、在庫量は増加傾向?農水省調査で実態明らかに

日本の食卓に欠かせないお米。近年、その価格高騰が続いており、家計への負担も大きくなっています。一体なぜこのような事態になっているのでしょうか?農林水産省が実施したコメの流通実態調査(2024年1月末時点)から、その実態が見えてきました。本記事では、調査結果を分かりやすく解説し、今後の米価動向について考察します。

各段階で在庫増加の傾向

今回の調査では、大規模業者だけでなく、小規模な集荷・卸売業者や一部の生産者も対象に含め、より詳細なデータが得られました。その結果、生産者、卸売業者、小売業者、そして中食・外食業者、全ての段階で在庫が増加していることが判明しました。

生産者・卸売業者の在庫増加

生産者段階では前年比9万トン、卸売業者段階では3万トン増加しています。農家の方々が、価格上昇を見込んで出荷を控えている可能性や、卸売業者が将来の需要増加に備えて在庫を確保している可能性が考えられます。「米穀流通研究会」の田中一郎氏(仮名)は、「生産者や卸売業者は、価格変動リスクを軽減するために在庫を保有する傾向にあります。今回の調査結果はその傾向を裏付けるものでしょう。」と述べています。

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小売・中食外食の在庫増加

小売業者や中食・外食業者においても、前年比7万トンの在庫増加が見られました。これは、消費者による買占めや、飲食店による備蓄などが要因として考えられます。消費者の間では、「値段が上がり続ける前に、少しでも安く買っておきたい」という心理が働いているのかもしれません。

集荷量は減少傾向

一方、大手集荷業者の集荷量は、2024年2月末時点で前年同月比25万トン減の223万トンとなりました。1月末時点では23万トン減だったため、減少幅が拡大していることが分かります。この減少傾向は、生産者の出荷控えや、価格高騰による需要減退が影響していると考えられます。

スーパーでの販売価格は上昇続く

2024年3月17~23日のスーパーにおけるコメ5キログラムの平均価格は4197円と、12週連続で値上がりしました。前年同期比では2倍以上となっており、家計への負担はますます深刻化しています。

今後の米価動向は?

今回の調査結果から、コメの在庫量は増加傾向にある一方、集荷量は減少傾向にあることが明らかになりました。この需給バランスの崩れが、価格高騰の大きな要因となっていると考えられます。今後の米価動向については、生産量や天候、そして政府の政策などが大きく影響すると予想されます。「日本食糧経済研究所」の佐藤恵子氏(仮名)は、「今後の米価は、生産量の推移と消費動向に大きく左右されるでしょう。政府による適切な介入が必要となる可能性もあります。」と指摘しています。

消費者としては、今後の価格動向を注視しながら、賢くお米を購入していくことが重要となるでしょう。