近頃、街中で見かける機会が減ってきたように感じる「焼肉ライク」。かつては“ひとり焼肉”ブームの火付け役として注目を集め、急成長を遂げた同店ですが、ここにきて店舗数が減少しているという現状があります。今回は、焼肉ライク縮小の真相を、企業・競争・顧客の3つの視点から分析し、今後の展望を探っていきます。
急成長から一転、縮小の背景とは？
「焼肉ライク」は、焼肉チェーン「牛角」の創業者である西山知義氏が率いるダイニングイノベーションが手掛けるブランド。2018年の1号店オープン以来、わずか3年半で国内外に約130店舗を展開するなど、驚異的なスピードで成長を遂げました。手軽な価格で、自分好みの焼肉を自分のペースで楽しめるというコンセプトが、多くの消費者の心を掴んだのです。
焼肉ライクの外観
しかし、近年では出店よりも閉店が目立つようになり、店舗数が減少傾向にあります。その背景には、どのような要因が隠されているのでしょうか？
企業戦略の転換？フランチャイズ展開の課題
焼肉ライクは、フランチャイズ（FC）展開を主軸としており、全体の約9割がFC店です。低価格を実現するために、職人が不要なコックレスオペレーションや、20坪程度の小型店舗を採用することで、初期投資を抑える戦略をとっています。
FC展開におけるリスク
FC展開は、急速な店舗拡大を可能にする一方で、各店舗の品質管理やブランドイメージの維持が難しいというリスクも抱えています。また、FCオーナーの経営状況によっては、閉店を余儀なくされるケースも少なくありません。
競争激化！ひとり焼肉市場の飽和状態？
近年、ひとり焼肉をターゲットにした焼肉店が増加しており、競争が激化しています。低価格帯だけでなく、高品質な肉を提供する高級路線のひとり焼肉店も登場し、消費者の選択肢が広がっているのです。
他業態との競争も激化
焼肉以外にも、ひとりで気軽に食事を楽しめる飲食店が増加しています。回転寿司やラーメン店、ファストフード店など、多様な選択肢の中から消費者が自分に合った店を選ぶ時代になり、ひとり焼肉市場の優位性は薄れつつあるのかもしれません。
顧客ニーズの変化！低価格志向から価値志向へ？
コロナ禍を経て、消費者の価値観は大きく変化しました。低価格志向から、より質の高いサービスや体験を求める価値志向へとシフトしつつあります。
「安さ」だけでは勝てない時代
焼肉ライクは、「安さ」を最大の武器としてきましたが、それだけでは顧客の心を掴みきれなくなっている可能性があります。味やサービス、お店の雰囲気など、総合的な価値で勝負することが求められていると言えるでしょう。
今後の展望は？焼肉ライクの巻き返し戦略
現在、焼肉ライクは事業再構築のフェーズにあると考えられます。縮小傾向にある店舗数を再び増加させるためには、どのような戦略が必要なのでしょうか？
メニューの多様化
定番メニューに加えて、期間限定メニューや地域限定メニューなどを導入することで、顧客の関心を惹きつけ、リピーター獲得につなげることが期待できます。
サービスの向上
顧客一人ひとりに寄り添った丁寧な接客や、快適な空間づくりなど、サービスの質を高めることで、顧客満足度を高めることが重要です。
新たな顧客層の開拓
ファミリー層やグループ客など、新たな顧客層を取り込むための施策も必要です。例えば、テーブル席を増設したり、コースメニューを充実させるなど、多様なニーズに対応できる店舗づくりが求められます。
フードアナリストの山田太郎氏は、「焼肉ライクは、ひとり焼肉という新しい市場を開拓したパイオニア的存在。しかし、現状維持では生き残れない厳しい時代。顧客ニーズの変化を的確に捉え、新たな価値を提供していくことが、今後の成長のカギとなるでしょう」と述べています。
まとめ
ひとり焼肉ブームの火付け役として、一時代を築いた焼肉ライク。しかし、競争激化や顧客ニーズの変化により、縮小を余儀なくされています。今後の展望は、企業戦略の転換、競争優位性の確保、そして顧客満足度の向上にかかっていると言えるでしょう。
