ロシアのラブロフ外相は12日、北朝鮮東部の元山で崔善姫外相と会談し、北朝鮮の核兵器開発を念頭に「国家の安全と主権を守ろうとする正当な努力」に確固たる支持を表明した。これは北朝鮮メディアが14日までに報じたものだ。米国がイラン核施設への空爆に踏み切ったことに対抗し、ロシアと北朝鮮の軍事的連帯を誇示する姿勢が鮮明になった。
ロシア外相、北朝鮮の核開発を「全面的に理解」
ロシアメディアによると、ラブロフ外相は会談後に「北朝鮮が独自の核開発計画を進める理由を尊重し、全面的に理解している」と述べた。さらに、米国とイスラエルによるイラン核施設への攻撃に言及した上で、はるか以前に核兵器開発を決断した北朝鮮に対しては「誰も武力を行使しようとは考えすらしない」と主張した。北朝鮮の核の脅威に備えて安全保障協力を強化する日米韓3カ国に対し、ロシアと北朝鮮に対抗する新たな枠組みを構築しないよう警告を発した。
ラブロフ外相と崔善姫外相が元山で会談、ロ朝の安全保障協力強化を確認
米国が6月にイランの地下核施設を空爆した際、地下深くに核・ミサイル開発の拠点を築いてきた北朝鮮の金正恩総書記が最も衝撃を受けたと見方が出た。一方で、推定数十発の核弾頭を保持するまで核開発が進んだ北朝鮮に対しては、核施設への精密爆撃が効果を発揮する時機を逸したとの見方も強い。ラブロフ外相の発言には、もはや米国は北朝鮮を容易に攻撃できないと牽制する意図がうかがえる。
北朝鮮、ロシアのウクライナ侵攻を「無条件で支持」
崔善姫外相は会談で、ウクライナ侵攻を続けるロシアへの全面的な支持を表明した。その後にラブロフ外相と面談した金正恩総書記も、ウクライナ侵攻を巡り「ロシア指導部が講じる全ての措置を無条件で支持、支援する用意」があることを明言した。
金正恩総書記がラブロフ外相と面談、ウクライナ侵攻への無条件支持を表明
ロシアと北朝鮮が昨年締結した包括的戦略パートナーシップ条約には、有事の際の相互軍事支援が盛り込まれている。これは、例えば北朝鮮の核施設が攻撃された場合でも、ロシアが介入する可能性を示唆している。この条約に基づき、北朝鮮はすでにロシア西部クルスク州へ合計約1万4千人を派兵しており、新たに工兵ら約6千人の追加派遣も決定している。
今回のラブロフ外相訪朝と一連の会談は、米国とその同盟国(日米韓を含む)に対するロシアと北朝鮮の連携強化を明確に示すものとなった。特に、北朝鮮の核開発に対するロシアの支持表明は、地域の安全保障環境に新たな緊張をもたらす可能性がある。包括的戦略パートナーシップ条約に基づく軍事協力の具体的な進展も確認され、両国の関係がかつてないほど緊密化している状況が浮き彫りとなった。