【ワシントン=黒瀬悦成】米外交誌フォーリン・ポリシー(電子版)は15日、トランプ政権が日本政府に対して在日米軍の駐留経費負担を現在の約4倍に増やすよう要求していると伝えた。複数の現役または退職した米政府当局者の話として報じた。
同誌によると、問題の要求は今年7月、当時のボルトン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)とポッティンジャー国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長が東アジアを歴訪した際、日本で政府当局者に伝達した。両氏は現行の駐留経費負担約20億ドル(約2177億円)を約80億ドルにするよう求めたという。
防衛省によると2019年度予算の在日米軍駐留経費負担は1974億円。負担に関する日米の特別協定の期限は21年3月まで。
また、ボルトン氏らは同じ歴訪で、韓国政府にも在韓米軍の駐留経費負担を現行の5倍に引き上げるよう要求したとしている。CNNテレビは15日、韓国に対する引き上げ要求は「4倍増」だとしている。
ロイター通信によると、シュライバー国防次官補(インド太平洋安全保障担当)は12日、一部記者団に「トランプ大統領が強調した通り、韓国にとどまらず各国がより大きな割合を進んで負担すべきだ」と発言。これに対し、米政府当局者の一人は同誌に、こうした要求は「(同盟の)価値を完全に誤解している」と批判し、米政権が中露に対して展開すると唱える「大国間競争」の戦略にも反すると懸念を表明した。
また、米政策研究機関「外交問題評議会」のリチャード・ハース会長は韓国への負担増要求に関し、ツイッターで「トランプ氏は在韓米軍撤収の口実にしようとしている可能性がある」との見方を示し、「そうなれば戦争の危険と、日本が核武装する可能性がともに高まる」と警告した。