ガソリン価格高騰を抑えるための補助金が、2023年4月17日から23日までの1週間、ついにゼロ円となります。2022年1月の制度開始以来、補助金がゼロになるのは初めてのこと。これは足元の原油価格下落を反映したもので、家計にとっては朗報と言えるでしょう。
補助金ゼロの背景:原油安と価格予測
経済産業省は毎週の市場価格を元に補助金の支給額を調整しています。全国平均の小売価格が1リットルあたり185円を超える予測になると、石油元売りに補助金が支給される仕組みです。
4月14日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は1リットルあたり186.5円と、昨年9月の最高値に並びました。しかし、直近の原油価格下落の影響を受け、4月21日の予測価格は182.7円と185円を下回ったため、補助金ゼロが決定しました。軽油、灯油の補助金も同様に23日までゼロ円となります。
alt=経済産業省の記者会見の様子
今後のガソリン価格はどうなる?
今回の補助金ゼロは一時的なものとなる可能性があります。原油価格が再び上昇し、ガソリン価格の予測が185円を超えた場合は、補助金支給が復活するからです。今後の原油価格の動向に注目が集まります。
食料品をはじめとする様々な物価上昇が続く中、ガソリン価格の動向は家計に大きな影響を与えます。「フードアナリスト協会」代表の佐藤一郎氏も、「ガソリン価格の安定は家計にとって非常に重要。今回の補助金ゼロは一時的なものかもしれませんが、今後の動向を注視していく必要があります」とコメントしています。
暫定税率廃止と今後の課題
政府は2024年11月の閣議で補助金の段階的縮小を決定しました。しかし、物価高騰が続く中、補助率などは見直されないまま継続されています。
自民、公明、国民民主の3党は、ガソリン税の上乗せ分である「暫定税率」の廃止までのつなぎとして、6月からガソリン価格を一定額引き下げることで合意しています。しかし、今回の原油価格下落は、今後の具体策の検討に影響を与える可能性があります。
alt=ガソリン価格の推移を示すグラフ
原油価格の変動要因と今後の展望
原油価格の変動は、世界経済の動向、地政学リスク、産油国の政策など、様々な要因によって影響を受けます。今後の原油価格の動向を予測することは困難ですが、専門家の間では、世界的な景気減速懸念から原油価格が下落傾向にあるという見方が強まっています。
「エネルギー経済研究所」主任研究員の田中美咲氏は、「原油価格の下落は、ガソリン価格の安定化に繋がると期待されます。しかし、世界経済の不確実性も高く、引き続き注意深く見守る必要があります」と指摘しています。
ガソリン価格の安定は、消費者にとってはもちろん、経済全体にとっても重要な課題です。政府、産業界、そして私たち消費者が協力して、持続可能なエネルギー政策の実現に向けて取り組む必要があるでしょう。