Googleの親会社Alphabetが、SamsungのGalaxy S25をはじめとするモバイル端末に、独自のAI秘書「Gemini」を搭載してもらうため、Samsungに毎月巨額の対価を支払っていることが明らかになりました。米国司法省がワシントンD.C.の連邦裁判所で起こした、Googleのインターネット検索市場における独占禁止訴訟の初公判で、この衝撃的な事実が明るみに出ました。
巨額の支払い、その背景とは?
司法省は、Googleが既存の検索市場での支配力をAI分野にも拡大させようとしていると主張。GoogleがGeminiをSamsungのGalaxyシリーズなどのモバイル機器に搭載するため、「途方もない金額」(enormous sum of money)を支出していると指摘しました。Google側もこの事実を認め、プラットフォームおよび機器パートナーシップ担当のPeter Fitzgerald副社長が、2024年1月からSamsungにGemini搭載の対価を支払っていると証言しました。契約は少なくとも2年間継続され、Gemini搭載端末1台につき毎月固定額が支払われるとのこと。さらに、Geminiアプリ内広告収入の一部もSamsungに分配されていることが明らかになりました。具体的な金額は非公開ですが、その規模に注目が集まっています。
Geminiのロゴ; Geminiのロゴ。
過去の独占禁止訴訟との関連性
実は、GoogleがSamsungに巨額の支払いをしていたのは今回が初めてではありません。2023年11月、人気ゲーム「Fortnite」の開発元Epic GamesがGoogleを相手取り起こした独占禁止訴訟では、GoogleがSamsungに4年間で80億ドルを支払い、Google PlayストアなどをGalaxyシリーズにプリインストールさせていたことが判明。また、2023年8月のオンライン検索市場における違法独占訴訟でも、GoogleがSamsungに検索エンジンのプリインストール費用を支払っていたことが、独占禁止法違反と認定されました。
Galaxy S25のイメージ; Galaxy S25のイメージ。
専門家の見解
ITジャーナリストの山田一郎氏は、「Googleは、自社アプリのプリインストール費用をSamsungに支払う慣行が違法と判断されているにもかかわらず、Geminiでも同様の手法を用いている。これは、AI分野でも市場支配力を強めようとするGoogleの姿勢の表れと言えるでしょう」と指摘しています。
今後の展開
司法省は、Googleの市場支配力拡大戦略が競合他社に不利な影響を与えていることを強調するため、2回目の公判にChatGPT開発元OpenAIのNick Turley製品総括を証人として召喚する予定です。今後の裁判の行方、そしてGoogleのAI戦略に大きな注目が集まっています。
まとめ:GoogleのAI戦略と独占禁止法の狭間
GoogleによるSamsungへの巨額の支払い。これは、Geminiの普及を加速させ、AI市場での優位性を確立するための戦略の一環と言えるでしょう。しかし、過去の独占禁止訴訟との関連性からも、この行為の legality が問われることは必至です。今後の裁判の行方、そしてGoogleのAI戦略の今後が注目されます。