パレスチナ自治区・ヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地の建設について、トランプ米政権が国際法に違反しないとの立場を示したことで、国際社会が支持するイスラエルとパレスチナの「2国家共存」案はいっそう実現が困難となる見通しだ。イスラエル寄りの政策を相次いで打ち出すトランプ政権に対し、欧州などは批判を強めるとみられる。
「米国にはイスラエルの入植地に正当性を与える権限などない」。パレスチナ自治政府トップ、アッバス議長の報道官はこうトランプ政権を批判した。
西岸は1967年の第3次中東戦争でイスラエルがヨルダンから占領した。ヨルダンはその後、領有権を放棄。現在は将来のパレスチナ国家の領土に想定され、約290万人のパレスチナ人が住む。
米政権は、自治政府とイスラエルの和平協議を促すためとして、パレスチナ支援を担う国連機関への拠出金の停止を表明するなどしてきたが、実質的には2国家共存案を葬る動きとも指摘されてきた。今回の「入植容認」でパレスチナ側の反発を強め、和平協議再開が遠のくのは間違いない。