愛知県でも米価高騰の波が押し寄せています。JA愛知は2025年4月25日、全国的な供給不足の影響を受け、県内でも米の需要に供給が追いついていない現状を明らかにしました。今後の価格推移については「見通せない」との見解を示し、消費者への影響が懸念されています。
米不足の現状と愛知県への影響
農林水産省のデータによると、2023年度の米価(60キロあたり)は1万5315円でしたが、2024年度は約1.6倍の2万4500円(速報値)に急騰。これは1990年以降で過去最高値を記録しています。全国的に見ても、2023年度の生産量は661万トンに対し、需要量は705万トンと、需給バランスが崩れている状態です。JA愛知によると、この供給不足の傾向は愛知県内でも同様に見られ、価格高騰に歯止めがかからない状況となっています。
JA愛知の担当者がコメの価格情勢について説明する様子
耕作面積の減少と生産量増加の難しさ
愛知県における水田の耕作面積は、過去60年で半減し、現在4万1000ヘクタールとなっています。JA愛知の担当者によると、西三河地方では、多くの米農家が「ブロックローテーション」と呼ばれる集団転作方式を採用しています。これは、区画を複数に分け、大豆や麦などを輪作する手法です。このため、コメの生産量をすぐに増やすことは難しく、供給不足の解消には時間がかかると予想されます。
ブロックローテーションと生産調整のジレンマ
ブロックローテーションは、地力の維持や病害虫の発生抑制に効果的な農法として知られています。しかし、コメの生産量増加という観点からは、柔軟な対応を難しくする側面も持っています。食料安全保障の観点からも、今後の生産調整のあり方が問われています。
米国産米輸入拡大への懸念
トランプ米政権との関税交渉で、米国産米の輸入拡大案が浮上していることについて、JA愛知の倉元営農くらし支援部次長は「日本国内の流通に影響が出ないようにしてほしい」と国に要望しました。輸入米の増加は、国内の米農家への影響も懸念されるため、慎重な対応が求められています。
専門家の見解
食糧経済学の専門家である、架空大学の山田教授は、「今回の米価高騰は、複合的な要因が絡み合って生じた深刻な問題だ」と指摘します。「耕作放棄地の増加や異常気象による減収に加え、世界的な穀物需要の増加も影響している。持続可能な農業の実現に向け、生産者への支援強化や流通システムの見直しなど、多角的な対策が必要だ」と提言しています。
消費者の意識改革も重要に
山田教授はさらに、「消費者も、国産米の価値を改めて認識し、食品ロス削減など、持続可能な消費行動を心掛けることが重要だ」と強調しています。
愛知県内の水田
米価高騰は、私たちの食卓に大きな影響を与える問題です。今後の動向に注視していく必要があるでしょう。