香港のデモ参加者に覆面着用を禁じた「覆面禁止法」が香港の実質的な憲法である香港基本法に違反するとした判断について、中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会はこれを全否定する声明を発表した。香港の「高度な自治」や「独立した司法」は、あくまで中国側が認めた範囲に限られる“鳥かごの中の自治”にすぎないというのが中国側の主張だ。
香港基本法は、その解釈権や改正権が全人代常務委にあると規定する一方、香港の裁判所も解釈を行うことを原則認めている。ただ全人代常務委が19日に発表した報道官談話は、香港の法律が香港基本法に違反しているか判断できるのは同常務委だけで「その他のいかなる機関も判断の権限はない」と主張した。
全人代常務委は2016年、香港立法会(議会)の反中派議員の資格取り消しを決めるなど過去に5回解釈権を行使している。ただその都度、香港の司法の独立を損なう動きとして批判を受けてきた。
中国国務院(政府)香港マカオ事務弁公室の張暁明主任は11月に発表した声明で「香港の高度な自治権は固有のものではなく、中国政府が授けるものだ」と指摘。香港の高度な自治権が、中国政府の権力に対抗することはできないと強調した。(北京 西見由章)