自民党と日本維新の会の連立政権が成立し、高市内閣が発足しました。維新からは大臣は出なかったものの、遠藤敬国対委員長が首相補佐官に就任するなど、新体制での維新の動きが注目されています。こうした政権入りについて、日本維新の会の“創業者”である橋下徹氏がどのような見解を示しているのか、その詳細が「文藝春秋」2025年12月号のインタビュー(聞き手・青山和弘氏)で明らかになりました。同インタビューでは、馬場伸幸前代表への厳しい批判と、大阪府知事を務める吉村洋文代表への熱い期待が語られています。
日本維新の会創業者である橋下徹氏が、連立政権の現状と党の方向性について見解を述べる様子
橋下徹氏が語る「馬場イズム」批判の真意
橋下氏はまず、「馬場さんは人は良い人です。人間関係破壊のプロである僕でも、ここの配慮はさせてください(笑)」と前置きしつつも、「日本の政治を左右し得る公党の代表だった馬場さんについては厳しく批判していきます」と述べ、その批判の対象が個人の人間性ではなく、公党のリーダーシップにあることを強調しました。彼は「馬場イズム」を「ザ・自民党スタイル」と同一視し、その問題点を深く掘り下げています。この分析は、維新の会の現在の立ち位置と、今後の党の方向性を理解する上で重要な視点を提供します。
「ザ・自民党スタイル」がもたらす問題点
橋下氏が指摘する「ザ・自民党スタイル」とは、政策を是が非でも実現しようとする熱量が欠如しているにもかかわらず、とにかく議席数を増やし、野党第一党としての「存在感」を永田町で示すことを目的とする姿勢です。具体的には、ルールなき飲みニケーションに明け暮れ、大人が誕生日会を開いて集まるような慣習が横行していると指摘します。さらに、国会議員間での上下関係が、古株か新人か、飲みニケーションへの付き合い方、はたまた金銭の有無によって決まるという、旧態依然とした政治文化が根付いていると批判しました。
特に、2022年に馬場氏が代表になってからの維新国会議員団について、橋下氏は「永田町での権勢拡大が自己目的化し、それが政策実行のための手段に過ぎないことを忘れてしまった」と厳しく断じました。これは、党本来の目的である政策実現よりも、党勢拡大そのものが目的化していることへの警鐘であり、党のあり方そのものへの問いかけと言えるでしょう。
維新の未来は「吉村イズム」にかかっている
橋下氏は、維新が今後、副首都構想や社会保障改革といった最優先課題を政権内で実現できるか否かは、「馬場イズム」からの脱却と、政策実行を第一に考える「吉村イズム」への転換にかかっていると力説します。吉村洋文代表が大阪で示してきたような、具体的な政策実現に焦点を当てた姿勢こそが、維新が国民の信頼を得て、真の改革を推し進める鍵だとしています。
そして、連立にあたって吉村代表が掲げた「議員定数削減」が実現できなかった場合、維新は連立を離脱するのかという問いに対し、橋下氏は「驚くべきものだった」とインタビュー内でその答えを述べています。これは、維新が自らの政治信条と公約に対してどこまでコミットしているかを示す重要なポイントとなるでしょう。
結論
橋下徹氏のインタビューは、日本維新の会が連立政権に加わる中で直面する内部課題と、今後の方向性を鮮明に浮き彫りにしています。馬場前代表の「ザ・自民党スタイル」への批判は、永田町の旧弊な政治文化への異議申し立てであり、吉村代表による「吉村イズム」への転換要求は、政策実行を最優先とする改革政党としての原点回帰を促すものです。維新の会が政権の一員として、国民の期待に応え、具体的な政策を実現できるかは、まさにこの「吉村イズム」をいかに貫徹できるかにかかっていると言えるでしょう。
参考文献
- 月刊文藝春秋 2025年12月号「維新は吉村イズムを貫徹しろ」
- 文藝春秋PLUS ウェブメディア掲載記事





