在韓米軍削減・撤収が韓半島の安保に及ぼす影響を誰よりもよく知っている米国防長官が、この時期にあいまいな回答をした理由は明らかだ。在韓米軍防衛費分担金の大幅引き上げに向けて、在韓米軍カードを「てこ」にしようということだ。
四日前まではソウルで「在韓米軍の現水準を維持する」と言っていた。しかし、19日午前の韓米防衛費交渉が80分間で決裂すると、在韓米軍の話を持ち出したのだ。おそらくトランプ米大統領の指示を受けたものだろう。
在韓米軍削減・撤退言及は、かつて韓米政府間でタブー(禁忌)に近かった。在韓米軍を韓米同盟や米国の太平洋戦略の礎だと考えていたからだ。だが、トランプ大統領の登場ですべてが揺らいでいる。トランプ大統領自身が「在韓米軍に莫大な金を使う理由があるのか」と撤退を取りざたした。
同盟の歴史と存在理由、価値を知らないトランプ大統領は、在韓米軍を「金食い虫」程度にしか考えていない。ある米軍専門誌は今年初め、「トランプ大統領が在韓米軍を削減するという懸念が増幅している」と伝えた。防衛費交渉の米国側代表も「在韓米軍撤収の懸念」について「トランプ大統領ならそうしたこともあり得る」と言った。
カーター元大統領の米軍撤収は、米の現役軍人たちが立ち上がって阻んだ。ところが、今回は米統合参謀本部議長が金の問題で在韓米軍駐留に疑問を呈している。「ラグビーボール」と言われるトランプ大統領をうまく抑えていたジェームズ・マティス前国防長官らもいなくなった。何が起こるか分からない。
韓国政府が実際に韓日軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を破棄すれば、トランプ大統領は在韓米軍削減・撤退カードをいっそう露骨に出してくるだろう。そうしているうちに在韓米軍削減・撤収はアクシデントのようにやって来る可能性がある。
このような状況なのに、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は「日本が原因でGSOMIAを破棄する」という。今は体面や自尊心を考えている場合ではない。
在韓米軍がなくなれば、韓国は核武装するしかなくなる。しかし、韓国政府と国民がそのような決断を下すことができるのか疑問だ。結局、どうであれ韓米同盟と在韓米軍を守らなければならない。
防衛費とGSOMIAという高波をどのように乗り越えるべきか漠然とした状況なのに、政府は「韓米同盟は大丈夫だ」という言葉ばかり繰り返している。本当に何らかの秘策があることを願うだけだ。
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2019/11/21/2019112180046.html
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