ADHD（注意欠如・多動症）を持つ方にとって、「先延ばし癖」は悩みの種。つい後回しにしてしまい、締め切り間際に慌ててしまうことも少なくありません。 最近、SNS上で「ADHDの先延ばし癖は暴力で直せる」という過激な主張が話題になり、波紋を呼んでいます。果たして、暴力は本当に効果的な解決策なのでしょうか？この記事では、専門家の意見を交えながら、ADHDの先延ばし癖のメカニズムと、より効果的で健康的な対処法を探っていきます。
ADHDの先延ばし癖、その原因とは？
ADHDの特徴として、「集中力の欠如」「衝動性」「多動性」などが挙げられます。これらの特性が複雑に絡み合い、先延ばし癖につながるケースが多いのです。例えば、集中力が続かないため、タスクに取り掛かるのが難しく、つい後回しにしてしまう。あるいは、衝動的に他のことに気を取られてしまい、本来やるべきことを忘れてしまう、といったことが考えられます。
暴力は解決策にならない！専門家の見解
SNS上で物議を醸した「暴力による先延ばし癖の矯正」。この主張に対し、多くの専門家は警鐘を鳴らしています。九州大学大学院人間環境学府・学術研究協力員で公認心理師・臨床心理士の中島美鈴先生（仮名）は、「暴力は一時的な効果があるように見えても、長続きはしない」と指摘します。「恐怖や強制によって行動を制御しても、根本的な解決にはならず、むしろ逆効果になる可能性も」と警鐘を鳴らす専門家もいます。
alt
トラウマや二次障害のリスクも
暴力による恐怖は、心に深い傷を残し、トラウマとなる可能性があります。また、自尊心の低下や不安感の増大など、二次的な障害を引き起こすリスクも懸念されます。特に、発達障害を持つ子どもは虐待のリスクが高いと言われており、暴力的な指導は決して許されるべきではありません。
先延ばし癖に効果的な対処法
では、ADHDの先延ばし癖に効果的な対処法とは一体何でしょうか？中島先生は、著書「書いてみるとうまくいく 先延ばしグセ、やめられました！」（大和書房）の中で、具体的な方法を紹介しています。タスクを細分化し、優先順位をつける、タイマーを使って作業時間を区切る、など、ADHDの特性に合わせた工夫が重要です。
ポジティブな強化でモチベーションUP！
「できたこと」を褒め、成功体験を積み重ねることで、自己肯定感を高め、モチベーションを維持することができます。小さな目標をクリアするたびに、自分にご褒美をあげるのも良いでしょう。
周囲の理解とサポートが大切
ADHDの先延ばし癖は、本人の努力だけでは克服できない場合もあります。家族や友人、職場の上司・同僚など、周囲の理解とサポートが大きな力になります。
まとめ：ADHDと共に生きるために
ADHDの先延ばし癖は、適切な対処法で改善することができます。暴力といった間違った方法に頼らず、専門家のアドバイスや周囲のサポートを受けながら、自分にあった方法を見つけ、より良い生活を送れるようにしましょう。
