【カイロ=佐藤貴生】イスラエルで9月に行われた国会(定数120)の再選挙を受け、連立協議を行ってきたガンツ元軍参謀総長は20日、期限内に協議をまとめられず政権は成立しなかった。4月に続いて9月の選挙でも政権が発足せず、同国で初めて1年以内に3回の選挙が行われる公算が高まっている。
9月の選挙後、右派・宗教勢力を主導するネタニヤフ首相が連立協議を行ったが、リーベルマン元国防相が党首を務める世俗派の極右政党「わが家イスラエル」が4月に続き、ユダヤ教の戒律を厳格に守る超正統派との連立を拒否。ネタニヤフ氏は過半数(61議席)の支持を固められず協議は頓挫した。
続いて10月下旬から中道・左派勢力を率いるガンツ氏が連立協議に臨んだが、汚職疑惑を抱えるネタニヤフ氏が党首の右派リクードとは組めないとの立場を維持し、協議が不調のまま20日に期限が終了した。
これにより国会に21日間、政権樹立に向けた協議が委ねられるが、過半数が支持する首相候補の選出は困難との観測が大半で、3回目の選挙が実施される見通しが強まっている。膠着(こうちゃく)状態が続き、国民からは不満の声も出ている。