いじめ、なぜ減らない!背景に「大人の誤解」、娘を自殺で失った母親がたどり着いた一つの答え


【写真】いじめ問題には「大人の誤解」が多いと警鐘を鳴らす小森美登里さん

 (益田美樹:ジャーナリスト)

■ なぜ娘が…、母がたどり着いた一つの答え

 娘がトイレから出てこない。ドアを開けてみと――。そのときの出来事は筆舌に尽くしがたい。

 1998年7月27日、横浜市在住の小森美登里さんは、一人娘・香澄さんの死に直面した。学校でのいじめを原因とした自殺。高校1年生だった娘との、早すぎる別れだった。

 香澄さんはその年の4月、念願がかなって希望の高校に進学した。ところが、しばらくして様子がおかしくなる。「いじめを受けているのではないか」と察知した小森さんは、学校に相談したが、事態は改善しない。そして、数カ月後、取り返しのつかない日を迎えた。

 「何があったのか」「なぜ子どもを守り切れなかったのか」。小森さんは、原因究明に必死になった。その後、学校でのいじめが明らかになったものの、問題を直視しない学校の対応に、危機感を覚えたという。

 娘のように、いじめに苦しむ子どもを生まないためには、どうしたら……? 

 対策を考えるには、現場を知らなければならない。その一心で、小森さんは、全国の学校現場に足を運び始めた。あれから四半世紀。各地の教職員、子どもたちと接点を持ち、学校現場で何が起きているのかを探った。そこで得た学びを、講演会や研修会の形で再び現場の人たちにフィードバックし、知見を常にアップデートして循環させてきた。講演は、1700回に迫ろうとしている。

 しかし、1人で伝える活動には限度がある。体力も以前ほど万全ではなくなってきた。そこで、これまでの蓄積をより多くの人たちに伝えようと、書籍にまとめることにした。著書は『いじめに対する大人の誤解――スクール虐待の現実』(新日本出版社)。刊行日は2024年12月、香澄さんの誕生日だった。



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