就職の面接に臨むあなたは、完璧に仕上げた履歴書に、誇らしげに学位を記載している。ところが採用担当者は、あなたのGPA(大学での成績評価値)を尋ねる代わりに、これまでに開発したアプリ、主導したキャンペーン、効率化したシステムについて聞きたがる。2025年の現在、大学で学んだことよりも、実際にどんな仕事をしているかが重視されるようになっているのだ。
現在の採用担当者は、額縁に入った卒業・修了証書よりも、あなたが実際に持っているスキルに注目している。学位は、成功への切符として、今も有効なのか、それとも単なる高価な肩書にすぎないのかと、疑問に思っている人もいるだろう。そこで、現在キャリアアップを本当に推進している要素を分析してみよう。
■学位よりスキル重視に傾く就職市場
実際のところ雇用主は、これまで以上にスキルを重視している。数年前に実施されたHarvard Business School(ハーバード・ビジネス・スクール)の調査(2017年発表。対象は600人のビジネスおよび人事担当リーダー)によれば、教育および医療分野の雇用主の6割以上が、学位は生産性を保証するものではないと考えていた。彼らだけではない。2025年1月現在、企業の最高幹部の81%は、スキル重視の採用を強化していると回答している。それまで設定していた「学位の要件」を、実際の業務で即戦力となる「スキルの証明」に置き換えているというのだ。
その理由は、AI、リモートワーク、デジタルトランスフォーメーション(DX)が業界を再構築し、状況が瞬く間に変化する世界において、何より重要なのは、適応力、問題解決力、そして実行力だからだ。
4年制大学の学位がなくても、優れたマーケターや開発者、プロジェクトマネージャー、戦略担当者になることは可能だ。成果を上げ、コミュニケーション能力に優れ、即戦力として働けるのであれば、ほとんどの企業が求める資質はすでに備わっている。資格やポートフォリオ、実証済みの成果は、大学の成績証明書よりも雄弁にその人の能力を物語る。