開催中の大阪・関西万博で、会場を訪れる国内外の賓客(VIP)が運営側の予測を大幅に下回り、案内役として雇用されているアテンダントの大半がほぼ勤務日がない状況となっていることが6日、関係者への取材で分かった。アテンダントの事業会社は「VIP来場は予測の3割に満たない状態」としている。
■「契約違反」の声も
アテンダント業務は、万博を運営する日本国際博覧会協会から委託を受けた日本コンベンションサービス(東京)が担当。同社は2005年の愛知万博でも施設運営を手掛けた実績がある。
関係者によると、アテンダントは万博会期中のアルバイト契約で、場内の迎賓館や日本館を拠点にパビリオンやイベントの視察などに同行する。
同社は協会からVIPの来場予定の情報提供を受け、勤務シフトを組んでいる。万博関連の仕事の時給は一般の仕事よりも高水準となっていることもあり、1週間に5日など〝フル稼働〟を希望する契約者が多い。
だが、会場を訪れるVIPが少なく、アテンダントの稼働がない状況が続いている。VIP側が協会ルートではなく、関係先のパビリオンを直接訪問するケースもあるほか、国内の政治家に関しては、夏に参院選があるため、万博訪問よりも地元対策を優先しているとの見方も出ている。
万博開幕から3週間が経過したが、勤務回数が0または1という人が続出。アテンダントからは「契約違反ではないか」との声が出ている。
この問題への取材に対し、協会は明確な回答をしなかった。
協会はVIPについて、王族や閣僚といった地位により「S」~「D」に分類している。
■「生活に支障」丸投げの協会に批判
万博を訪れるVIPの案内役の仕事がほぼないことについて、事業会社に雇用されているアテンダントからは「収入が得られず生活に支障が出ている」との声が出ている。万博会場で働くことを希望し、それまでの仕事を辞めて応募した人も少なくない。日本国際博覧会協会はこの問題について特段対応をしておらず、事業会社への〝丸投げ〟に批判が出ている。
「万博期間中の収入は生活費として相当あてにしていたのに、開幕以来1日しか勤務がなく非常に困っている」。事業会社と契約している大阪府の女性は、苦しい胸の内をこう明かす。