“モノ屋敷”化した実家に頭を悩ませている働き世代は実に多い。高齢になった親はなぜか家を片付けなくなる。とはいえ、子どもが片付けようにも仕事や家庭があるので時間がない。そもそも親が片付けさせてくれない。
築90年超のモノ屋敷であるこの家もまた、同じ問題を抱えていた。本連載では、さまざまな事情を抱え「ゴミ屋敷」となってしまった家に暮らす人たちの“孤独”と、片付けの先に見いだした“希望”に焦点をあてる。
YouTube「イーブイ片付けチャンネル」で多くの事例を配信するゴミ屋敷・不用品回収の専門業者「イーブイ」(大阪府)代表の二見文直氏に、親が高齢になった途端にモノを溜め出してしまう理由を聞いた。
動画:「ハサミが20本もある」価値観が違う母の遺品整理【前編】
「価値観が違う母の遺品整理」荷物やゴミが多い実家の片付け方【後編】
■“新しい妻”を迎えるたびに散らかる部屋
「売物件」の看板が立てられた築90年超のモノ屋敷。13年間1人で住んでいた高齢女性が他界した。2階建ての家の中には、冷蔵庫が4つ、食器棚が5つ、ホコリの被った大きなオルガン、タンス、本棚、衣装ケース、椅子、ヒーター、扇風機など、大きな家具・家電が折り重なるように散乱している。大量のモノで窓が塞がれ、日の光が入らず、家全体が薄暗い。
【写真】同じモノばかり出てくる…! “ゴミ屋敷”となった驚く実家の内部【生まれ変わった部屋を見る】(36枚)
とくに2階は物置状態になっていて、「どうやって上に運んだの?」というくらいモノであふれ返っている。部屋の入り口までダンボール箱がせり出していて、中に入ることもできない。
リビングを見ると同じモノがいくつもあることに気がつく。前述のように冷蔵庫だけでも4つあるし、ハサミなんて20本以上はある。
イーブイに片付けの依頼をしたのは、この家に住んでいた高齢女性の娘だった。父と母が2人で住んでいたが、13年前に父が亡くなってからは母が1人で暮らしていたという。依頼のきっかけを娘が話す。
「片付けのきっかけはおばあちゃん(母)が亡くなって。死ぬまでは(家の中のモノに)触らんといてくれと言われていたんです。施設に入所してからは、もう帰って来られないだろうと思って自分でちょこちょこ片付けはしていたんですが、散らかる一方でした」