【瑞山共同】長崎県対馬市の観音寺から盗まれ韓国に持ち込まれた県指定有形文化財「観世音菩薩坐像」が10日、韓国中部忠清南道瑞山市の浮石寺で日本側に引き渡された。12日に対馬へ戻る。寺では引き渡しに先立ち、最後の法要が執り行われた。日韓関係の悪化を招いた問題は、盗難から12年半を経て解決に向かう。
法要には観音寺の田中節孝前住職ら日本側関係者も参加した。仏像は仁川国際空港から空路で福岡へ運ばれた後、船便で対馬へ渡り、観音寺でも法要が営まれる。
浮石寺はこの仏像の「故郷」に当たるとして、100日間の法要と一般公開を続けてきた。円牛住職は「今後も対馬と円満に交流し、(仏像の)交流展示会などで文化財の価値を生かす方策を話し合って世界の模範にしたい」とあいさつした。
盗難事件は2012年10月に発生。韓国当局が仏像を回収し窃盗団を摘発したが、「元は倭寇に略奪された文化財だ」として所有権を主張した浮石寺が16年、同寺への引き渡しを求め提訴した。韓国最高裁で23年、観音寺の所有権を認める判決が確定した。