今年4月、和歌山県白浜町にあるアドベンチャーワールドは、パンダ4頭すべてを6月末に中国に返還すると発表。パンダが目玉の観光地・白浜町はこの先どうなるのか…緊急取材しました。
「パンダがいなくなると聞いて急いで来た」 駆け込み需要で旅館の予約は通常の約3倍
観光客が訪問する目的の1位は温泉、2位がパンダ、3位は食事という白浜町(南紀白浜観光協会 2022年「観光データから見る南紀白浜」より)。ゴールデンウィーク中の5月2日、アドベンチャーワールドでは、パンダに会うために30分待ちの列ができていました。
(来園者)「パンダがいなくなると聞いて急いで来ました」
パンダがいる最後の連休とあってまさに駆け込み需要の賑わい。3日の土曜日に白浜駅を訪れると、アドベンチャーワールドに向かうバスには、臨時便にも乗り切れないほど長い列が。
さらに、旅館「紀州・白浜温泉むさし」でも、パンダ返還の発表から一晩で通常の約3倍もの予約が入り、6月末までの休日はほぼ満室になったといいます。
(紀州・白浜温泉むさし 女将・沼田弘美さん)「6月については1日に1000万円ずつくらい売り上げが上がっていくような状況になりました。パンダに会いたいと思って旅行を計画されたお客さまがこんなに多くいるということに驚かされています」
ピンチをチャンスに!『すべての生き物が主役』のアドベンチャーワールド
『パンダのまち』からパンダが消える…このピンチをチャンスに!駆け込みのパンダファンが集うアドベンチャーワールドは、今こそ「ほかの動物の魅力を知ってもらうチャンス」ととらえています。
(アドベンチャーワールド 広報・北村あすかさん)「パンダだけでなくたくさんの動物たちが暮らしていて、それぞれが、だれもが『キラボシ』という存在。動物たちの魅力に気づいていただけたらとてもうれしいです」
約120種、1600頭の動物が暮らすアドベンチャーワールド。どれも「キラボシ」、スターぞろいだという生き物たちのところへ案内してもらいました。
まずは全国有数の広さがある「サファリワールド」。マレーバクやキリン、シロサイなど大型動物に歩いてすぐそばまで近寄ることができます。パンダの観賞では体感できない距離感です。
そして、パンダと同じ黒と白のかわいい生き物もいます。それはペンギンです。8種類約500羽という飼育数は日本最大級で、国内2か所でしか見られないエンペラーペンギンもいます。
さらに、自慢はイルカショー『マリンライブ』。10頭を超えるイルカが水の中を駆ける、そして跳ぶ!客席が埋まるほどの大人気イベントです。
(来園者)「パンダ以外もよかったです。サファリもよかったし、イルカもよかった。(Qパンダが今後いなくなって大丈夫かと言われていますが?)いなくてもまた来たい」
実は、アドベンチャーワールドで過去、最も人気があった「スター」はシャチ。しかし2005年にいなくなって以降、「すべての生き物が主役」という方針を打ち出していました。パンダ返還というピンチが迫る今こそ、この理念が大事だといいます。
(広報・北村あすかさん)「(Qパンダだけじゃないということ?)そうですね、たくさんの動物に出会って、それぞれの動物がそれぞれの魅力を持っているので、たくさん発見して心が躍るようなときを過ごしていただきたいと思っています」