インドとパキスタンが領有権を巡って争っているカシミールで5月7日に起きた両国間の武力衝突の際、パキスタン軍の保有する中国製の戦闘機がインド軍の運用するフランス製の最新鋭戦闘機を撃墜した、という主張がパキスタン側から提起された。
インドは最近、自国の戦闘機を現代化する作業の一環としてフランスの防衛関連企業ダッソーが製造したラファールを順次導入して実戦配備してきたが、実際に少なくとも1機は撃墜された可能性が高いことが判明した。パキスタンの主張が事実だと証明された場合、中国製の兵器が実戦で西側の戦闘機を撃墜した最初の事例になる。中国にとっては、「安物」と評されてきた自国の兵器に対する認識を変える絶好の機会になる一方、米国に次いで世界第2位の武器輸出国であるフランスにとっては大きな打撃になりかねない、という分析が出ている。
パキスタンのイスハーク・ダール外相は武力衝突があった当日、議会に出席して「カシミール付近の接境地域で、わが空軍の(中国製)J10C戦闘機がインド空軍の戦闘機5機を撃墜した」「このうち3機はフランスの最新鋭ラファール戦闘機」と主張した。パキスタン空軍が当時使用したミサイルは、中国製の中距離空対空ミサイル「PL15E」だという。ダール外相は「今回の戦闘でわが空軍の(制空権における)優位が確認された」と主張した。
J10Cは中国空軍の主力戦闘機で、2003年から運用してきたJ10単発多目的戦闘機の最新改良型だ。メーカーの中国成都飛機工業集団は「J10Cは最新レーダーと高級電子線装備を有する4.5世代戦闘機で、フランスのラファールや米国のF16ブロック70などと性能は同等」とPRしてきた。
インド政府は沈黙している。しかしCNNは、フランス政府当局関係者の話を引用して「インド空軍機のうち、ラファール1機がパキスタン軍に撃墜されたものとみられる」「ほかに撃墜された機体があるかどうかも調査中」とし、「メーカー側にコメントを要請したが、応じない」と伝えた。少なくとも1機は撃墜されたものとみられる、という話だ。