新幹線トラブル、ワンマン運転等、JR東日本労組が会社側の準備不足批判


 JR東日本では3月6日、東京発新青森・秋田行き新幹線「はやぶさ・こまち21号」が上野―大宮間を走行中に連結部分が外れるトラブルが発生した。昨年9月にも同様のトラブルがあり、国土交通省は重大インシデントに認定。詳しい原因がわかっていない中、同社は連結操作をするレバーに固定金具を取り付ける応急的な対策で3月14日から運転を再開した。

 ワンマン運転は3月15日からのダイヤ改正に伴い、常磐線(各駅停車)の綾瀬―取手間(10両編成)、南武線の川崎―立川間(6両編成)で開始。この直前に開かれた同集会には現場の組合員や活動を支援する国会議員、自治体議員ら約180人が参加した。冒頭のあいさつで佐々木宏充委員長は「今のJR東日本は公共交通としての社会的使命を果たさず、利益第一主義を続けている」と批判。「新幹線の分離問題は半年で2回。レールの破損も山手線、横須賀線などで数多く発生している」と安全上の問題点を指摘し、「安全と安心、信頼を取り戻すために、これからも活動したい」と語った。

 続いて各職場から問題点の指摘があった。新幹線の職場からは、連結外れの他にもオーバーランやパンタグラフ破損などのトラブルが報告された。2023年末に同社の新幹線統括本部長が「新幹線を止めない、遅らせない」「稼ぐことにこだわっていきましょう」とのメッセージを出した件も紹介。「組合が問題にしているのは会社の安全に向き合う姿勢と、原因の掘り下げが弱いために、繰り返しトラブルが起きている点だ」と強調した。

「中止」の交渉は平行線に

 組合側は「運転士と車掌は役割分担がある。車内でトラブルがあれば車掌は現場に向かい、運転士は指令室への連絡対応をする。これを一人でこなす訓練はほとんど受けていない」「10両という長い編成で安全が保てるのか疑問だ」と懸念する。車掌が廃止されれば営業職場などへの配置転換の可能性があり、不安を訴える声も多い。

 輸送サービス労組東京地方本部では2月3日、常磐線沿線の5駅で乗降客らにワンマン運転への懸念を訴えるビラ配りをし、会社側に「いったん中止」を求めた。団体交渉が2回行なわれたが、会社側は「中止する考えはない」と回答し、平行線に終わった。常磐線は綾瀬―代々木上原間は東京メトロ、その先は小田急線に接続するが、この両線ではこれまで通り運転士と車掌の2人体制を継続する。

 集会には企業ガバナンスに詳しい「大久保アソシエイツ」の大久保和孝社長(公認会計士)が参加。一般論として「内向き志向で、なかなか世の中の常識を受けつけなくなった時に問題は起こりうる。もう一つ大事なのは社内の風通しで、多くの企業がそこをどう改善していくのか、莫大な時間と労力をかけ始めています」と解説した。

金本裕司・ジャーナリスト



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