昨年12月の関東初出店で、「130席で1日平均200万円・客数2000人以上」という驚異的な集客力を発揮した「資さんうどん」に続いて、福岡県発祥のうどんチェーンが、次々と全国に打って出ようとしている。
【画像19枚】ハラカドに出店した「因幡うどん」。やわ麺に穏やかな出汁が魅力だ
2025年3月には、「県外初出店・原宿ハラカドに開業(因幡うどん)」「創業者退任、“ホリエモン”とタッグで全国展開(うちだ屋)」「アジア進出(博多やりうどん)」と、3社が相次いで動いた。
福岡県のうどんは次々と全国進出を果たし、「讃岐系」の丸亀・はなまるに次ぐ第三極になれるのか? 「うちだ屋」について詳しく深掘りした前編と同様に、お膝元・福岡県を巡って、目と舌と胃袋で検証してみよう。
■「魔法の味変ごぼ天」あり! ハラカド進出の因幡うどんとは?
前編では、「うちだ屋」が「資さん」と同様、うどんファミレスとしての強みを持っていることを解説した。家族で食べるも良し、ひとりで呑むのも良し、それが「資さん」「うちだ屋」なのだ。
【画像19枚】ハラカドに出店した「因幡うどん」。やわ麺に穏やかな出汁が魅力だ
一方、3社の中でももっとも老舗の「因幡うどん」(1956年創業)は、少し毛色が違ってくる。
「因幡うどん」は、もともと天神・渡辺通など市街地に強い。裏を返せば、そこまでくつろげるわけではない“普通のうどん店”(「うどんファミレス」ではない)だが、かつ丼・とり天丼や、かしわおにぎり・おはぎなど、うどん以外のメニューが充実している。
「因幡うどん」自体も魅力的だ。麺太め、柔らかめな博多うどん系統ではあるが、ごぼう天ぷらは、うどん鉢の上部を覆うような円状の衣に、スライスしたごぼうを閉じ込める独特の構造となっている。
おなじ「ごぼ天」でも、長さ14cmのスティック状の「資さん」や、ふわっと細長い「ウエスト」とも違い、出汁に溶け出した衣のとろみで、魔法のように“味変”が生じる。
「因幡うどん」の原宿出店は、福岡のうどんが「資さん」や「ウエスト」だけでなく、もっと多様性があることを、広く知ってもらういい機会ではないか。
おなじ博多うどん系統の「ウエスト高田馬場店」も閉店して久しく、因幡うどんは都心の博多うどん店として貴重な存在だ。ここは、首都圏の「資さん」や町田市の「ウエスト」と食べ比べて、麺・出汁・天ぷらの違いを観察するのもいいだろう。