今期のドラマは、50代後半から60代のベテラン俳優の主演が目立つ。『キャスター』(TBSテレビ系)の阿部寛、『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)の中井貴一、そして『PJ 〜航空救難団〜』(テレビ朝日系)の内野聖陽。
【画像】夕焼けの中で5人が寄り添う様子が印象的なドラマのポスター
しかもいずれもゴールデンタイムだ。なぜいま3人が起用されるのか? それぞれの軌跡とともに考えてみたい。
■『TRICK』『結婚できない男』で壁を打ち破った阿部寛
日曜劇場『キャスター』は、テレビ局が舞台。阿部寛演じる型破りなニュースキャスター・進藤壮一が、ニュースの裏にある意外な真相を暴き出す。
阿部寛は、もはや日曜劇場の常連。主演だけでも『下町ロケット』や『ドラゴン桜』など、今回ですでに6作目だ。
1964年生まれで、昨年60歳を迎えた。モデルとしての人気をきっかけに映画『はいからさんが通る』(1987年公開)でデビュー以来、今年で俳優生活38年を迎える。
現代劇だけでなく、『坂の上の雲』(NHK、2009年放送開始)の秋山好古、大河ドラマ『どうする家康』(NHK、2023年放送)の武田信玄など歴史ドラマや時代劇の大作でも重要な役どころを演じ、すっかり大物の風格が出てきた。
ただ俳優人生は順風満帆だったわけではない。189㎝の高身長が理由で役柄が限られてしまったり、ファッションモデルのイメージがマイナスに働いた部分があったりと、苦労した時期もあった。
壁を打ち破るきっかけになったのが、『TRICK』(テレビ朝日系、2000年放送開始)だろう。
仲間由紀恵とのW主演。阿部が演じたのは物理学者で大学教授の上田次郎。仲間演じる売れないマジシャン・山田奈緒子とバディを組み、超常現象が絡んだと思しき事件を解決する。と言ってもシリアス一辺倒ではなく、上田と山田の軽妙な掛け合い、ギャグや小ネタが満載のコメディ的な面白さで人気を博した。