文科省の博士学生経済支援プログラム、十分な検証なき「日本人優先」検討の危うさ。留学生の受給者が多いことへの批判もあるが


【図表】博士課程入学者数の推移

 その背景を取材すると、文科省が同制度による留学生獲得の効果を調査することなく、「SPRINGによる支援のありなしは、留学生の数には影響しない」という推測を基に制度の見直しに着手していたことがわかった。担当課は調査しない理由を、「留学生支援はうちの担当ではない」「制度の主目的は留学生支援ではない」と説明する。

■自民党議員が「日本人学生優先」を要求

 SPRINGをめぐっては3月下旬、文科省が自民党・有村治子参議院議員による国会質疑に応じる中で、2024年度の受給者1万0564人のうち4125人(全体の4割)が外国人で、かつ中国人が2904人(全体の3割)を占めることを公表。有村氏は「国民生活が厳しさを増す中、日本の学生を支援する原則を明確に打ち出さなければ理解が得られない」と指摘し、見直しを求めていた。

 そもそも博士課程に進む留学生は、日本政府による高度外国人材政策の核である「高度人材ポイント制」において、極めて高い配点をされている層に当たる。同制度ではさまざまな項目にポイントを割り振り、70点以上を高度外国人材と認定。80点以上なら最短1年で永住権を申請できる。

 SPRINGがそうした学生を日本に呼び込む後押しになるのであれば、受給対象を原則的に日本人にする、あるいは支援の枠数や金額で差をつけて日本人を優先するといったような変更をすれば、留学生の獲得に悪影響を及ぼすおそれはないのか。



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