阿部寛が主演
秀逸な作品が続くTBSの看板ドラマ枠なのに今回はなぜか“モヤモヤ”が収まらない。俳優の阿部寛(60)が主演するTBSの日曜劇場「キャスター」(日曜午後9時)のことだ。
高い期待を背負って世帯平均視聴率は初回14.2%と春ドラマの中でダントツの成績を残した。しかし、第2話は11.7%、第3話は10.9%、第4話は10.4%、第5話は10.8%と1ケタ陥落寸前なのだ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。ニュース報道を根底からぶっ壊すことが同ドラマの大テーマなのだが……。いったい何が物足りないのか。
毎期の連続ドラマをウォッチングしているテレビ誌ライターがこう指摘する。
「『キャスター』は民放テレビ局JBNを舞台に公共放送出身の進藤壮一(阿部)が報道番組『ニュースゲート』を立て直すためメインキャスターとして引き抜かれ、型破りのスクープ魂で社会の闇に切り込む社会派エンターテイメントです。とはいえ第1話早々から永野芽郁演じる崎久保華が番組の総合演出という局幹部並みの役職であることに視聴者の違和感が噴出してしまいました。
というのも、総合演出はバラエティーからの転属でいきなり任せられるポジションではないからです。11日放送の第5話で社会部長が『君(崎久保)は若い女性だからそのポストにつけた。女性の登用を進める内閣府に足並みをそろえればJBNの評価は上がるから』と説明しました。しかし、局内には優秀なベテラン女性職員は他にもたくさんいるはずで、ミスキャストの言い訳に聞こえてしまいました」
第5話は警察組織と内部告発が主に描かれた。「ニュースゲート」チーフディレクターの梶原(玉置玲央)が警察官による女性暴行事件を警察幹部がもみ消した、との情報を入手。“ペーペー同士”として親しい間柄である赤坂南署のノンキャリ署長・竹野夕希子(緒川たまき)の内部告発をスクープできるはずだった。だが、警視庁の村崎善延参事官(手塚とおる)に阻まれJBNは警察出入り禁止(出禁)に。制作会社所属の梶原は責任を問われクビになってしまう。
この展開に違和感を持ったのは元警察担当の記者だ。
「地方の小さな警察署ならノンキャリア組でも警察署長になる場合はありますが、ドラマに登場した“赤坂南警察署”は都心の重点地域を管轄しています。このクラスの警察署ならひとつ上の警視正の階級が多いはず。警視正以上の階級は国家公務員総合職試験に合格したキャリア組しか昇進できないので、ノンキャリ組の女性警察官が署長という設定はいかがなものでしょうか。
署長の権限は絶大な一方、メディア対応は通常、副署長が担当します。ノンキャリといえども警察組織で絶大な権力を握る警察署長が、テレビ局の契約社員とツーカーになるという設定はかなり無理があるのでは。しかも竹野署長の衣装がラフ過ぎて署長の威厳を感じません」