米国政府のいわゆる「ブラックリスト」に中国の長鑫存儲技術(CXMT)が追加される可能性が浮上し、業界の注目が集まっている。メモリー半導体の業況を脅かす主要要因に挙げられてきたCXMTの低価格攻勢にブレーキがかかるかが注視されている。米国政府はこれまで、CXMTは安保の脅威にはならないと判断しブラックリストから除外してきた。
18日付のフィナンシャル・タイムズ(FT)の報道によると、米政府は輸出制限対象のリストである「エンティティリスト」に中国のDRAMメーカーCXMTを入れる案を検討していると、複数の関係者が語った。米商務省産業安保局(BIS)がすでに追加するリストの草案を作成した状態だという。エンティティリストは、米政府が安全保障に脅威になると判断した企業や研究機関のリストだ。このリストに載った対象には、米国で生産され、または米国の技術を基盤にした品目の輸出が制限される。
業界ではメモリー半導体の業況に注目すべき変数ができたとみている。サムスン電子、SKハイニックス、米マイクロンテクノロジーを中心に寡占体制を維持してきたDRAM市場は、このところCXMTの登場で変曲点を迎えた状況だ。CXMTが生産量を急速に拡大し、DRAM価格を下げる圧力が強くなったためだ。特にCXMTが収益性よりシェアの拡大に重点を置いて「低価格攻勢」を繰り広げている点がカギだ。これまでDRAM業界は業況が悪くなる度に供給量を減らし価格を押し上げてきたが、今やこのような方式の対応が難しくなったのだ。いわゆる「ダウンサイクル」がさらに長引く可能性が高まったという意味だ。
そのため、米国がCXMTをリストに追加した場合、韓国企業は一息つくことになるとみられる。エンティティリストに載った企業は半導体生産装備を輸入することが難しくなる。CXMTの急速な増設に歯止めがかかるわけだ。特にCXMTの存在感が大きい旧型DRAM市場では、サムスン電子とハイニックスが息を吹き返すものとみられる。韓国信用評価は先月の報告書で「(米国がCXMTをエンティティリストに含める場合)レガシー(旧型)メモリーの供給負担が緩和される可能性がある」との見通しを示した。
ただし、トランプ政権内部には追加制裁に対する反対意見もあるという。最近急流に乗った米中交渉が再び難関にぶつかる恐れがあるという懸念が作用したのだ。フィナンシャル・タイムズは「米国と中国が90日間関税を引き下げることにし、タイミングの問題がさらに複雑になった」として「一部のトランプ政権の人々は(追加の輸出規制が)交渉を難しくする恐れがあると主張している」と報道した。
イ・ジェヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )