「無断バイト」で退職金1000万円が不支給に…勤続15年の公務員医師に下された免職処分の重すぎる代償


【写真】無許可兼業で全国初となる懲戒免職、退職金不支給の処分を行った静岡県庁

■「懲戒免職=退職金ゼロ」ではない

 静岡県は5月12日、兼業の許可を受けずに県外の医療機関でアルバイトしていたとして、心臓血管外科医で健康福祉部理事だった男性Aさん(62)について、退職手当を全額不支給とする処分を決めた。

 3日前の9日に、静岡県は地方公務員法18条違反(無許可兼業)でAさんの懲戒免職処分を記者会見で公表したが、15年間県の医師職で勤務したAさんの退職金をゼロとしたことは一切、報道発表しなかった。

 懲戒免職処分となった者が退職金ゼロなのは当たり前だと思う方も多いだろう。だがそうではない。

 懲戒免職処分と退職金不支給処分は連動しているが、退職金を全額不支給とするかどうかはまったくの別個の判断となる。

 県職員退職手当条例は、懲戒免職処分を受けて退職した者に、退職金の全額あるいは一部を支給しない処分をすることが「できる」と規定している。

 「できる」という規定であれば、退職金全額支給という判断もありえた。

■1000円をくすねたバス運転手の最高裁判決

 人事院によると、退職手当は①勤続報償、②生活保障、③賃金の後払いの3つの要素を有していて、基本的には職員が長期間継続勤務して退職した場合の勤続報償の要素が最も強いとしている。

 最近、運賃1000円を着服し懲戒免職となった京都市バスの運転手について、29年分の退職金1211万円の全額不支給は妥当であると判断した最高裁判決が話題となった。

 バス運転手は「退職金ゼロは処分が重すぎる」として裁判を起こしている。つまり免職でも退職金の支給度合いについては解釈の余地があるということだ。



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