(ブルームバーグ): ホンダは20日、電気自動車(EV)の需要の鈍化や各国・地域の環境規制の緩和を受けて電動化やソフトウエアなどに向けた投資計画を従来の10兆円から7兆円に減額すると明らかにした。
発表資料によると、昨年発表した2031年3月期までの投資計画のうち、カナダにおけるEVのバリューチェーン構築に向けた検討延期で1兆円、次世代EV専用工場の投資後ろ倒しとラインアップ適正化により2兆円の減額を見込む。
環境問題への懸念から自動車業界ではEV普及への期待が高まった時期があったが、EV市場の成長鈍化に伴い自動車各社の間では販売や投資計画の見直しといった動きが広がっている。ホンダは40年に新車販売全てを走行中に二酸化炭素(CO2)を排出しないEVと燃料電池車(FCV)にする目標を掲げるなど、他の国内自動車メーカーと比べて脱炭素化に積極的な姿勢を示していたが、軌道修正を余儀なくされた。
ホンダの三部敏宏社長は記者団に対し、40年の目標を「ずらしてしまうと50年のカーボンニュートラルを諦めることと等しい」と述べ、EVとFCVへの完全移行する時期については堅持すると説明した。
一方、これまで目標としていた30年時点でEV販売比率30%とする目標については見直し、三部氏は全体の販売台数360万台に対し約20%にあたる70万台から75万台程度になるとの見通しを示した。35年についてはFCVと合わせ80%とする目標をこれまでは示していたが、三部氏は具体的な数字を示すことは「あまり意味がない」とし、今後の状況を見ながら30年以降のマイルストーンを見直していく考えを示した。
足元ではトランプ関税によりホンダは今期(26年3月期)の営業利益が6500億円下押しされることを見込む。三部氏はトランプ関税が長期化すれば、同社の「需要のあるところで生産するという考え方を厳格化し、米国で売るものは米国で作るという方向に変えていくことも視野には入れている」と述べた。