政府は少子化対策の一環として、男性にも育児休暇を促す取り組みを進めてきた。その一方で、生理休暇への理解が進んでいない現状もあるようだ。労働基準法では生理休暇についてどう定められているのか。退職代行モームリによる新刊『今の会社、ヤバいかも!? 3万人の「もう無理!」でわかる会社の見分け方』より一部抜粋・再構成、実際に寄せられた相談事例をもとに、生理休暇取得の実情や法規定を解説する。
【相談事例】生理休暇が取れない
生理痛がひどい場合でも必ず出勤しなくてはなりません。職場からは「当日の欠勤はやめてくれないか」と言われましたが、生理痛がひどい時は貧血症状もあって、とても出勤できる状況ではなく、周りに理由を知られるのも嫌です。(建設業・A建設事務職23歳/女性)
【モームリ解説】
労働基準法第68条には「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と定められています。なので、たとえ就業規則に記されていなくても、生理休暇を認めない場合は違法となります。
とはいえ、日本医労連の女性協議会が約9000人を対象として行ったアンケート調査では、生理休暇を「毎回取っている」「時々取っている」という女性が合わせて7.3%しかいないことがわかりました。生理休暇を取得しない理由としては、「雰囲気として取りづらい」「上司に言いづらい」など、周囲の無理解が原因と思われる理由も多くありました。この事例は建設業なので、おそらく男性が多い職場でなかなか理解してもらえていないことが想像できます。
一方、会社側としては、急に休まれると困る、と言う場合はあるでしょう。しかし、急病や事故などで突然仕事ができなくなる可能性は男女関係なくあります。そのため、従業員が急に休んだ場合でも業務が滞らない体制を作っておく必要があります。
ちなみに、労基法には生理休暇のほか産前産後休業についても規定されていて、原則として女性が請求した場合は出産予定日の6週間前から就業させることができません。また、産後休業は基本8週目までで、本人の希望と医師の判断により7週目から働くことができます。
※退職代行モームリ/大山真司・著『今の会社、ヤバいかも!? 3万人の「もう無理!」でわかる会社の見分け方』を元に一部抜粋して再構成