「みなさん、メリークリスマス! おかげさまで嫁の腎臓をもらって、99.9歳まで、生きられることになりました」
【写真あり】小錦さんのダイエットや会社経営、ライブ開催と二人三脚できた千絵さんだが腎移植手術への道のりは険しかった
2024年12月23日、聖誕祭の前々日に、サンタクロースの格好をした大男が記者会見を開いた。
場所は神奈川県の湘南鎌倉総合病院で、話すのは約3週間前の12月4日に夫婦間腎臓移植手術を行った小錦八十吉さん(61)だ。
いわずと知れた大相撲の元力士で、外国出身初の大関にのぼり詰めた昭和-平成のスーパースターである。
「6月から心臓と腎臓の状態が悪く、もう腎臓移植しかないと思っていたんです。でも僕がなかなか受け入れられなかったのは、嫁の腎臓をもらうということでした」
傍らで妻の千絵さん(49)は、少しの笑みを浮かべて、うなずきながら聞いている。
「僕は今年もう、彼女からクリスマスプレゼント、なにも、もらえないよ。いままでそばにいてくれたのが、僕の中に入っちゃってるから」
右手に握ったマイクがとっても小さく見える、小錦さんの語り口は、軽妙だ。
でも一時、表情をあらためて、
「よく嫁が頑張ってくれて、感謝です──」
夫の「御礼」に千絵さんは、
「最初は不安が大きかったんですが、武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)と奥さまが7年前(2017年)、主治医の田邉先生に手術していただいて、成功していると聞きました。それが大きな安心になりました」
1963年12月31日、アメリカ合衆国ハワイ州出身で10人きょうだいの8番目に生まれた小錦さんは、元の本名が「サレバ・アティサノエ」で、愛称は「サリー」。
父・ラウトアさん、母・タラさん(ともに故人)は「生粋のサモア人」で、小錦さんは「サモア人は例外なく大家族だね。ハワイでは、親類同士はもちろん、村中で助け合う風土があるんだ」
アメリカンフットボールの選手として活躍していた小錦さんは、高校卒業後、外国出身初の関脇・髙見山(渡辺大五郎さん、80)にスカウトされ、1982年に初来日した。
185cm、200kg超の巨体と、ド迫力の突き押しで頭角を現し、1987年に大関に昇進。
横綱・千代の富士(故人)、大関・霧島(現年寄・陸奥、66)らと、歴史に残る名勝負を繰り広げた。
現役中の1994年に日本国籍取得。幕内最高優勝3回、生涯戦歴733勝498敗で1997年に引退。
タレントに転身後は「KONISHIKI」として、バラエティ番組などでも人気を博す。
一度、離婚歴のある小錦さんが千絵さんと出会ったのは、2000年のこと。交際丸3年で2004年1月7日に2人は結婚した。
その後、体重オーバーによって心臓や血管の負担が増大していた小錦さんはダイエットを決意。
夫婦で懸命に取り組む姿が報道されるなど、仲むつまじい夫婦として認知され、今日に至る。