夏日を記録した5月上旬、都内有数の高級住宅街を道幅いっぱいに広がって歩く男だらけの一団がいた。見るからに暑苦しい一行のド真ん中で余裕の笑みを浮かべているのは、麻生太郎自民党最高顧問(84)である。
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「麻生氏と一緒にいた男たちは報道各社の麻生番記者です。麻生氏は朝の散歩を日課にしています。担当記者たちはこの散歩に同行しながら、麻生氏の腹の内を探ろうとしているのです」(全国紙政治部記者)
普段は高級スーツにボルサリーノの帽子というマフィア風スタイルでキメる麻生氏も、散歩とあってラフなトレーニングウェア。15分ほど〝ファミリー〟を引き連れて練り歩いた後、自宅へと戻って行った。
石破茂総理(68)の誕生と共に最高顧問という名誉職に追いやられた麻生氏だが、47人の派閥を率いる領袖として今も現政権に睨みを利かせている。
◆「反石破の求心力」
「5月14日、麻生氏が本部長を務める『自由で開かれたインド太平洋戦略本部』が会合を開催。本部長代理の高市早苗前経済安全保障担当相(64)や顧問の茂木敏充元幹事長(69)、副本部長の萩生田光一元政調会長(61)ら57人が出席しました。官邸はこの日集まったメンツが石破おろしの勢力の軸になるとみて警戒を強めています」(自民党関係者)
麻生氏は現政権に、鈴木俊一財務相(72)や武藤容治経産相(69)、浅尾慶一郎環境相(61)ら4名を自身の派閥から入閣させているのだが、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「反石破の求心力となっているのが麻生氏」と分析する。
「反石破勢力は一枚岩ではないのですが、麻生氏がいることで一つにまとまっているように見える。それでかえって麻生氏は自分の存在感を見せつけられるわけです。石破政権は支持率が低迷しています。それでもすぐに石破おろしには動かないでしょう。次の参院選が予定通り7月20日に実施されるとなれば、まずは選挙に注力せねばならないですから」
この日の様子を見れば一目瞭然だが、百戦錬磨の麻生氏に焦る素振りは一切ない。前出の自民党関係者が続ける。
「参院選の大敗はほぼ確定していますから、そこまでは様子見でしょう。引責辞任後の総裁選から動くはず。担ぐのは高市氏か茂木氏と見て間違いない。そして、次かその次の政権で、義理の弟である鈴木俊一財務相を幹事長にして派閥を引き継がせ、地盤は息子である麻生将豊氏(40)に譲る。そして自らは院政を敷くということでしょうね」
散歩しながらキングメーカーが見据えていた石破おろしとその先――この日の笑顔は自信の表れだったのだろうか。
『FRIDAY』2025年6月6・13日合併号より
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