「殺された女子は私の上司の長女だった」11歳の少女が同級生を殺害…毎日新聞記者の人生を変えた「ある事件」


【衝撃画像・・・】40歳を迎えた少年A(酒鬼薔薇聖斗)とその両親、そして「遺体の一部」を学校にさらされた11歳の子どもの写真をすべて見る

 毎日新聞の川名壮志氏の人生を変えた「ある事件」とは? 新刊 『酒鬼薔薇聖斗は更生したのか:不確かな境界』 (新潮社)より一部抜粋してお届けする。(全3回の1回目/ つづきを読む )

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人生を変えた「11歳少女による殺人事件」

 凶器は図工用のカッターナイフ。白昼堂々、同級生の首を切りつけた。

 長崎県佐世保市で、わずか11歳の少女による殺人事件がおきたのは、2004年のことだ。

 この事件をきっかけに、私が少年事件を追いつづけて二十余年がすぎる。

 なぜ、事件を追うことになったのか。

 当時の私は、毎日新聞佐世保支局に赴任して4年目の駆け出し記者。殺された女の子は、私の上司である支局長の長女だったからだ。

 ご存じのように、20歳未満の少年は「少年法」によって保護の対象になる。くわえて14歳未満は、たとえ人を殺めようとも、刑罰が科されない。幼い少女はひっそりと児童自立支援施設に収容された。

 その彼女も、今や30歳を越えている。すでに施設を出て十数年がすぎ、無名の成人女性として、この社会のどこかで暮らしている。

 もちろん、再犯はしていない。

 ただ残念ながら、遺族への謝罪の言葉は今もない。

 私が事件を追うなかで出会った、残酷な言葉がある。

「加害少年たちは、要するに犬なんだよ」

 愕然とした。

 しかし立ち返ってみると、否定はできないのだ。

 佐世保事件の少女。

 あるいは、少年Aこと酒鬼薔薇聖斗。

 少年犯罪は、いつだって遺族たちをひどく落胆させてきた。

 殺人という重い過ちをした少年たちが、罰を受けることもなく守られる。

 そして「育て直し」の名の下に、過去を切りはなして新たな人生を歩みだす。

 遺族の期待は満たされぬまま、更生が果たされる。

 だからこそ今、私は考える。

 はたして、更生とは何だろう、と。

《事件から28年》14歳の中学生が児童2人を殺害、切断した11歳の子どもの頭を使って犯行声明…神戸連続児童殺傷事件「少年A」のその後の人生 へ続く

川名 壮志/Webオリジナル(外部転載)



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