芸歴32年、お笑いタレント、俳優、歌手、MCとマルチに活躍する藤井隆氏。50代になった今、年齢を重ねるごとに変わっていく身体の変化に気づきながらも、自分らしく自然体で毎日を楽しんでいます。
そんな藤井氏に、日々のケアとリフレッシュ法を伺いました。喉や目の不調、台詞覚えの変化、猫背対策からごはんの楽しみ、そして「潜るのが大好き」という水中での癒やし時間まで──。
ユーモアとやさしさがにじむ言葉からは、肩肘張らずに年齢と付き合うヒントが詰まっています。本記事は藤井隆氏の初のエッセイ『マ・エノメーリ』から抜粋・再編集してお届けします。
■50代になってから
――50歳を迎えて、体の変化はありますか。日々どのようなケアをされていますか。
お医者さまから喉と目が弱点と教えていただいてまして、若い頃から声が枯れるのと、ものもらいが出来るのが体力的に疲れたサインです。
あとは疲れてくると頬と目の間が擦ったように赤くなったり、視力が落ちてぼんやりとしか見えなくなったりします。
20代は声が枯れても寝たら回復したり、新幹線や飛行機に乗ってる間に寝たら元気になったりしてましたが、50代になってからは移動すると疲れが溜まっていくのを実感しています。
台詞覚えがめちゃくちゃ悪くなってきました。覚えるのに時間がかかるようになってきました。
30歳の頃、NHK朝の連続ドラマ「まんてん」でいただいた役がヒロインの旦那役でした。合気道の師範である母親の願いで医大に通って、医者を目指してるけど本当は宇宙飛行士になりたくて、こっそり宇宙飛行士になる為の勉強もしてて、そして母親に合気道を習ってるという役だったので、なにかと覚えないといけないことが多くて、大変でした。
シーンによっては医学用語や宇宙飛行士に関する専門用語など、丸ごと暗記しないといけない台詞もあって、撮影が始まった序盤の慣れない環境と緊張感であふれそうな中、台詞で頭の中をパンパンにしながらスタジオに通っていました。台詞覚えが間に合わなくて大阪のスタジオに向かう新幹線の中で必死に覚えて、リハーサルになんとか間に合うようなギリギリの時もありました。
どんどん撮影しながら、覚えた台詞を言っては「OK」ってなって、次のシーンの準備に着替えてる間に頭の中にスペースが「かちゃ〜ん」って空いていくような、そんな感覚をドラマ「まんてん」で初めて味わいました。