中国の自動車市場では昨年、ある地元ブランドが高級車の販売台数でBMWとメルセデスを上回った。「AITO(問界)」は15万1000台を販売した。SUVの「M9」が人気を博した。同ブランドはセレスの傘下で、EVへシフトして3年で販売台数を3倍に伸ばしている。
中国のある電気自動車(EV)ブランドが、世界最大の中国自動車市場を長年リードしてきたBMWとメルセデス・ベンツ(Mercedes-Benz)を上回っている。
【全画像をみる】中国の高級EV市場では、BMWとメルセデスが聞いたことのない自動車メーカーに販売台数で負けている
セレス・グループ(Seres Group:賽力斯集団)とテック大手のファーウェイ(Huawei)によるEVブランド、アイト(Aito)が昨年、中国での高級車の販売台数でトップになった。納車台数は15万1000台で、BMWの14万5000台、メルセデス・ベンツの12万7000台を上回ったことを、上海のコンサルタント企業ThinkerCarのデータは示している。
AITOの台頭は、主力製品「M9」の成功によるところが大きい。2023年後半に発売された高級SUVだ。
「M9」は、ファーウェイのオペレーティング・システム「ハーモニーOS(HarmonyOS)」、トリプルスクリーン・ダッシュボード、プレミアム内装オプションなどテクノロジーが満載されているおかげで、すぐに中国のドライバーたちの人気を集めた。
セレスは、以前はDFSKモーター(DFSK Motor)ブランドの低価格ミニバンで知られていたが、2021年にファーウェイと戦略的パートナーシップを結び、AITOブランドで再出発した。
それ以来、急成長を遂げ、昨年の販売台数は3年間で3倍の約42万7000台となり、上海証券取引所では株価が同じ期間に120%上昇した。
AITOの成功は、中国の高級自動車セグメントにおける変化を反映している。同セグメントはかつては、海外ブランドが独占していた。ThinkerCarのデータによると、2020年はメルセデス・ベンツの25万9000台がトップ、次いでBMWの23万5000台、ポルシェ(Porsche)が7万9000台だった。
2024年までにAITOやニオ(NIO)など、中国のEVメーカーがランキングに入ってくるようになり、BMW、ベンツ、アウディ(Audi)による「寡占状態」とThinkerCarが表現した状況は崩壊した。
中国製のEVは、国内市場以外でも販売台数を伸ばしている。
BYDは4月にヨーロッパで初めてテスラ(Tesla)を上回ったことが、5月22日に発表されたJATOダイナミクス(JATO Dynamics)のデータによって示された。
BYDは、今年1~3月におけるEVの世界販売台数でも約41万6000台と、テスラの33万6700台を上回った。
Thibault Spirlet