「ゾンビ・タバコ」にむしばまれる日本の若者 沖縄に上陸、自分の体をコントロールできなくなる危険ドラッグ


【画像】エトミデートが不正に製造されていた国

 厚生労働省の迅速な対応の背景には、世界的に問題が拡大していることがあるようだ。

■麻酔薬「エトミデート」を電子タバコに混入

 エトミデートは海外で短時間作用型の静脈麻酔薬として、歯科や産婦人科などの医療現場で使用されている。身体に取り入れると数十秒で効き目があり、5~10分程度効果が持続するとされている。しかし、日本では承認されていない薬剤である。

 このエトミデートを加工し、電子タバコのリキッドやカートリッジに混入することで広範囲に流通していることが、世界的な問題となっている。

 国連薬物犯罪事務所(UNODC)によれば、エトミデートを使ったリキッドは、特に東アジア・東南アジアの非正規薬物市場で広がりを見せているという。

 このリキッドは香港で「space oil」と呼ばれ、錠剤や結晶状のエトミデートの検出が増加。台湾でも2024年8月に初検出されて以降、検挙件数が増加したことで取り締まりが強化された。

 中国でもこの問題が表面化しており、当局が捜査に乗り出した。その過程でタイでの製造疑惑が浮上し、2024年10月末からタイ麻薬取締局との共同捜査を開始。12月には、その製造源となる物質の倉庫をバンコクで発見し、中国人容疑者の行方を追っている。

沖縄で救急搬送事例が相次いだ

 さらに、このエトミデートを吸入すると多幸感を覚えてハイになる傾向があるため、「笑気麻酔(本来の笑気麻酔とは異なる)」として流通させることで、犯罪に対する意識を薄れさせているのも大きな要因だろう。

 日本でも2025年2月以降、沖縄でエトミデートなどを使用したとみられる救急搬送事例が相次いだ。また、県警が押収した危険ドラッグを鑑定したところ、その中からエトミデートが検出された。

 捜査の結果、このゾンビ・タバコはSNSを中心に販売されており、10代~20代の若年層に広がっている可能性があるという。



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