6月3日の韓国大統領選挙を控え、韓国の芸能人をめぐる「政治色」論争が起きている。
韓国では、保守系与党「国民の力」のイメージカラーは赤で、最大野党「共に民主党」は青。候補者たちはこのカラーのネクタイやジャンパーなどを着用して選挙活動を行なっている。
【写真】赤と「2」のジャケットを着用し、問題になったaespaカリナさんの投稿
そのため、韓国の芸能人は選挙期間、服の色などが支持政党の示唆だと受け取られないように配慮する傾向にある。
赤と「2」のジャケット。「他意はない」と釈明。利用する政治家も
人気グループaespa(エスパ)のメンバーのカリナさんは、事前投票が始まる前の5月27日、自身のインスタグラムに、数字の「2」がプリントされた赤と黒のジャケットを着た写真を投稿した。日本の路上で撮影したオフショットだったが、その後削除した。
「2」は大統領選の候補者である与党「国民の力」のキム・ムンス氏の候補者番号であることから、一部のネットユーザーから「国民の力」の支持を表明しているのではないかという声があがったのだ。
所属事務所のSMエンターテインメントは「他の目的や他意は全くなく、誤解のを生む点を認知した後、すぐに掲示物を削除した」として謝罪。カリナさんに誹謗中傷が寄せられているとも明かし、「アーティスト保護にも最善を尽くす」とコメントした。
この騒動を利用する動きもみられ、「国民の力」ペク・ジウォン報道官は、SNSにaespaの代表曲「Supernova」のワンシーンとともに、「SHOUT OUT TO」と投稿したが、その後削除した。
また、ラッパーのビンジノさんは29日に、「世界バーガンディの日」とコメントし、バーガンディ色の服を着て家族と過ごす写真を投稿。赤に近いことから政治的な意図を疑われたが、その後否定し、「期日前投票期間中というタイミングで誤解が生じる可能性があった点、十分に気を付けられなかったことを痛感している」と釈明した。
青の次は赤で、「バランスをとったのではないか」
こうした事態を受け、韓国の芸能人の中では「色」や「数字」に敏感になる動きが広がっているとみられる。
BIGBANGのメンバーのG-DRAGONさんは29日、インスタグラムのストーリーに、青い照明が映る自撮り写真を投稿。その後、暗闇に赤い円が浮かぶ写真を投稿したことから、ネット上では、「バランスをとったのではないか」と解釈する声が出ている。
また、歌手のIUさんは30日、ファンとのコミュニケーションプラットフォームを通じて、事前投票を報告した。白のマスクと黒の帽子で顔を隠し、緑のチェックのシャツ姿で、青と赤は身につけなかった。
一方で、イメージカラーを着て、支持政党を表明する俳優もいる。
映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」「1987、ある闘いの真実」「ソウルの春」などに出演するキム・ウィソンさんは「共に民主党」の支持者として知られており、2022年の大統領選の際には、今回の選挙でも有力とされているイ・ジェミョン氏の広報動画に出演していた。
30日にはインスタグラムで「選挙はお祭りだが、なぜだが今回は戦争のように感じられた。一発だけの弾丸、狙いを定めて撃ってきた」と事前投票を報告。青いキャップと青いパーカーを着ていた。