参院選を左右する「大局観なき消費税論」「国民民主党現象」 先崎彰容氏が指摘する“違和感”の正体


【写真を見る】“美魔女”と呼ばれていた頃の山尾志桜里氏

 ***

 そんな時代の象徴が、国民民主党をはじめとした新興勢力の躍進といえるでしょう。一見すると玉木雄一郎代表の“手取り政策”が奏功したものとも思えますが、この現象の実像をとらえるには、社会全体に視点を広げる必要があります。

 たとえば、この間、選挙ポスターをもてあそぶ「N国党」や、政策をあえて掲げない「石丸新党」が人気を得ていました。彼らの支持層は、社会を決定的に変革できない今、選挙それ自体を嘲笑し、馬鹿にしたい気分を潜在的にもっている。いわば従来の民主主義を揶揄するような政治活動が、拍手喝采を浴びるようになっているのです。

 学校の先生を引きずり下ろすことができない教室で許された反抗は、おしゃべりをやめないとか、後ろを向いて無視するとかですよね。今の日本社会で起こっているのは、同様の反抗的な気分です。テレビやSNSで人気を博す自称知識人やコメンテーター、さらに芸人も、どこか斜めから社会を見る、人に嫌味を言う、引きずり下ろす発言が増えているように思えます。

国民民主党の“化けの皮”

 日本の場合、アメリカほど過激な左派活動もない分、揺り戻しもトランプ登場ほどにはなりません。しかし逆から言えば、社会停滞、社会を劇的に変える雰囲気がないので、「小さな論点」で留飲を下げ、嘲笑と喝采がおこる。さらにSNSの発達もあって、もはや、自民党と立憲民主党に代表される「保守vs革新」という二項対立の時代は終わり、若者は「新・旧」という遠近法によって政治をとらえるようになっている。ここにうまくはまったのが、「手取りをあげる」の国民民主党だったわけです。

 社会の閉塞感を一気に変えられない。でも不満は人それぞれに渦巻いている。だから個別具体的な論点をかかげる少数政党が躍進し、“多党政治化”が進むでしょう。岸田文雄元首相から「大連立」「玉木首相」などに触れる発言があったのも、そんな背景事情への危機感があってのことでしょう。

 しかし国民民主党をふくめ、急拡大する少数政党では、人材不足が早晩、露呈します。すでに国民民主党では、参院選の比例代表候補をめぐって批判を集めるなど、人材不足の“化けの皮”が剥がれつつある。これがなぜ問題なのかというと、仮に連立入りを果たし、総理のポストを得た場合、海外の強国に揺さぶられるからです。どこまでできるかお手並み拝見と、必ず、外交問題をしかけてくる。



Source link