スマホで測ったら…”勧告レベル”
中日本高速道路八王子支社(東京)が長野道岡谷インターチェンジ(IC)―岡谷ジャンクション(JCT)間の上下線で岡谷高架橋のリニューアル工事を進めている。近隣住民からは工事機材による騒音を懸念する声も上がっている。
「窓開けられない」
橋脚近くに住む80代男性は、2年ほど前から「騒音が気になる」と、スマートフォンのアプリで数値を測る。今年に入り、昼間に84デシベルを記録したこともあるとする。自治体が、改善勧告を出すことができる「85デシベル超」に迫る数値だ。男性は、「夏はうるさくて窓が開けられない」とし、「終わるまで我慢するしかない。1日でも早く工事が終わってほしい」と漏らした。
信濃毎日新聞記者が29日午前10時ごろ、この男性の自宅近くでスマートフォンのアプリを使い、騒音を計測したところ、最大64デシベルだった。一帯では、高速道路を走行中の乗用車内で聞こえるような「ボー」という作業音が響いていた。
「音が続くようなら…」
現場近くに住む70代女性は、1カ月ほど前、深夜に「ガガガガ」という工事の音で目が覚めた。その後同様の音が深夜に1週間ほど続いた。女性は「一緒に暮らす50代の娘は、寝る時に耳栓を着けていた。今後も同じような音が続くなら不安」と心配する。
業者は騒音測定装置は設置せず
中日本高速道路によると、工事の騒音については「時折85デシベル以内かどうか確認はしている」とする一方、現場に騒音測定器は設置していないといい、「要望があれば常時計測するようにする」とした。
説明会では「注意払う」
中日本高速道路八王子支社(東京)は5月28日、岡谷高架橋のリニューアル工事についての説明会を、地元の岡谷市岡谷区の住民を対象に開いた。
工事は、大手ゼネコン鹿島などの共同企業体(JV)が22年11月に開始し、29年秋ごろまでを予定。道路の路面の舗装を張り替えたり、橋脚の耐震性を高める補強をしたりしている。
地元説明会は23、24年に続き3回目。中日本高速道路の担当者が、高架橋が漏水による塩害で劣化している現状などを説明した。路面などのコンクリートを取り壊す機械などにより、「騒音、振動が発生する場合がある」とし、「民家の近くでは抑えられるよう注意を払う」として理解を求めた。