【06月03日 KOREA WAVE】韓国の大手芸能事務所「HYBE(ハイブ)」の株価が、パン・シヒョク議長に対する「資本市場法上の詐欺的不正取引」容疑による検察の家宅捜索という悪材料にもかかわらず、5営業日ぶりに反発した。これまで幾度となく「V字回復」を遂げてきたHYBE株が再び勢いを取り戻すかに注目が集まっている。
韓国取引所によると、2日、コスピ市場でHYBE株は前営業日比2.26%上昇の27万2000ウォンで取引を終えた。先月26日に28万9500ウォンの高値をつけた後、4営業日連続で下落を続けていたが、この日ついに上昇に転じた。コスピ全体が1.30ポイント下落した中での上昇であり、特異な動きといえる。
HYBEの株価は2022年、BTS(防弾少年団)がグループとしての活動を一時中断する方針を示したことから10万7000ウォンまで下落した。しかしその後、マルチレーベル戦略によりIP(知的財産権)を多角化し、2023年6月には31万2500ウォンまで回復した。しかし、同年9月に子会社ADOR(アドア)のミン・ヒジン代表(当時)との対立が表面化し、NewJeans(ニュージーンズ)の活動に悪影響を及ぼすと、再び15万7700ウォンまで下落。30万ウォン台で買った個人投資家からの不満が爆発した時期だった。
最近では「限韓令(中国による韓流規制)」の緩和や、6月のBTSフルメンバーのカムバックを控えて30万ウォン目前まで上昇したが、先月発覚したパン議長の不正疑惑が再び足を引っ張った。
検察は5月29日、HYBEを家宅捜索した。警察によると、パン議長は2019年にHYBEのIPO(新規公開株式)計画がないと投資家に説明しながら、保有株を知人が設立した私募ファンドに売却するよう勧誘したとされる。さらに、同ファンドとの間で売却益の30%を分け合う契約を交わし、約4000億ウォン(約400億円)を得たという。この一連の取引について、HYBEは当時公示しなかった。
このような大型スキャンダルの影響もあり、HYBEは5月27日、中国テンセントミュージックエンターテインメント(TME)にSMエンターテインメントの保有株を全量売却したことを発表しても、株価は下げ止まらなかった。中国企業が韓国エンタメ企業の主要株主となったことで、限韓令解除への期待は高まったが、それでもHYBE株の下落を食い止めるには至らなかった。
ただし、今回の5営業日ぶりの反発を受けて、個人株主の間では「BTSのカムバックがパン・シヒョクリスクを上回る」との見方が強まっている。掲示板には「HYBE株の命運はパン・シヒョクではなくBTSが握っている」「BTSのワールドツアーで大きな収益が期待される」といった投稿が相次いでいる。
一方で、他のエンタメ株が勢いよく上昇しているにもかかわらず、HYBE株の反発が限定的であることから、「パン・シヒョクリスクは依然として残っている」と慎重な見方も多い。この日、YGエンターテインメントは6.17%、JYPエンターテインメントは3.08%の上昇を記録している。
証券業界の関係者は「パン・シヒョクリスクが依然くすぶっており、HYBE株がV字回復を継続できると断言するのは早計だ」としながらも、「エンタメ業界におけるBTSカムバックの波及力を考えると、“BTS対パン・シヒョク”という構図の中で株価の変動性はいっそう高まる可能性がある」と指摘している。
(c)KOREA WAVE/AFPBB News
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