10月20日、日本の政界に大きな動きがあった。自民党の高市早苗総裁と、日本維新の会の吉村博文代表が連立政権樹立に合意したのだ。これにより、21日の高市総裁の首班指名を経て、「自維連立政権」が正式に発足する見通しとなった。26年間続いた「自公連立政権」が幕を閉じ、新たな政治の枠組みが始まる中で、特に初めて政権入りを果たす日本維新の会の動向に注目が集まっている。新与党が掲げる政策、中でも重要視される「人口・外国人政策」は、今後の日本社会にどのような影響を与えるのだろうか。
日本維新の会共同代表 藤田文武氏
新連立政権の誕生と維新の会の役割
今回の連立交渉において、日本維新の会は自民党に対し12項目にわたる政策実現を求め、その中核の一つに「人口・外国人政策」を据えた。具体的には、外国人比率の抑制、総量規制の導入、そして外国人政策担当大臣の設置を提案している。この方針は、同党の共同代表を務める藤田文武氏が以前から提唱してきたものである。「デイリー新潮」が6月に配信した藤田氏へのインタビュー記事では、この政策について詳しく語られており、新政権下で進められる外国人政策を理解する上で重要な手掛かりとなるだろう。(このインタビューは2025年5月13日に実施され、「デイリー新潮」2025年6月25日号記事として再配信されたものだ。)
藤田文武氏が語る「外国人政策」の具体像
藤田氏はインタビューで、長年の企業経営者としての経験から、人口減少と外国人労働者問題の深刻さを指摘している。特に介護、障害福祉、医療といった労働集約型分野での人手不足は、彼自身が肌で感じてきた課題だという。人口減少社会と少子高齢化の加速は、民間経済を含むあらゆる分野に波及する喫緊の課題であるとの認識を示した。
2024年の入管難民法改正により、従来の技能実習制度から、より高度な在留資格への移行を視野に入れた新たな「育成就労制度」が2027年度から適用される予定である。藤田氏は、この制度の方向性自体は正しいと評価しつつも、根本的な方針として、日本の全人口に占める外国人の割合、つまりボリュームに着目した議論と政策が不可欠だと強調した。多くの企業が外国人労働者の活用に成功している現状がある一方で、その総量に対する国家としての明確なビジョンが求められていると彼は力説する。
連立政権下の外国人政策の展望
自維連立政権の発足は、日本の外国人政策に新たな転換点をもたらす可能性を秘めている。日本維新の会が提唱する外国人比率の抑制や総量規制、そして外国人政策担当相の設置といった政策が、具体的にどのように実現されていくのかは、今後の政権運営の大きな焦点となるだろう。人口減少と労働力確保のバランス、そして多様な外国人との共生社会のあり方を巡る議論は、新政権下でさらに深まることが予想される。
参考資料
- デイリー新潮 (2025年6月25日). 「藤田文武・日本維新の会共同代表インタビュー」. (オンライン再配信記事)
- Yahoo!ニュース (2025年10月21日). 「高市総裁と吉村代表が連立合意」.