フランスの金融機関ソシエテ・ジェネラルのストラテジストは、日本国債利回りの急上昇により金融市場の混乱を警告している。日本国債利回りの上昇は円キャリー取引の巻き戻しを引き起こし、アメリカ市場にも影響を及ぼす可能性があるという。日銀は国債の買い入れを減らしており、インフレへの懸念から国債の利回りが上がっている。
フランスの金融機関ソシエテ・ジェネラル(Société Générale)の著名なストラテジストであるアルバート・エドワーズ(Albert Edwards)は、日本の国債利回りが急上昇していることを受け、「世界の金融市場の終末」が迫っている可能性があると警告した。
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日本の国債の長期金利は、インフレへの懸念、政府支出の増加、そして日本銀行(日銀)の利上げによって、上昇し続けている。日本では長年にわたり金利が極めて低かったため、今回の急上昇は、低金利の円で資金を借りて海外の高利回り資産に投資するという円キャリー取引の巻き戻しを引き起こす可能性がある。エドワーズは、投資家がそれらの海外資産から資金を引き揚げて日本に戻すようになれば、アメリカのような市場に深刻な影響を及ぼしかねないと述べている。
「アメリカの国債市場と株式市場の両方が、日本からの資金流入によって膨らんできたため、今や脆弱な状態にある(米ドルも同様だ)。そして、日本国債の利回りが大きく上昇すれば、日本人の投資家が資金を本国に戻すようになり、その結果としてキャリー取引の巻き戻しが起こって、アメリカの金融資産から『吸い上げられるように』資金が流出するだろう」とエドワーズは2025年5月22日の顧客向けメモに記した。
「したがって、現在の投資家にとって最も重要なことは、日本国債市場の長期金利の急騰を理解し、注視することだと私は考えている」
投資家が理解しておくべきこととして、日本の利回り上昇の背景にある重要な要因のひとつは、日銀が国債の買い入れを減らしたりやめたりして、自ら保有する国債を満期が来たときに買い戻さず、減らしていることだ。これは、日本のインフレが予想以上に長く続いているため、日銀はこれ以上景気を刺激するために資金供給を拡大したり、国債を買って金利を低く抑える必要がなくなったからだ。
William Edwards