内戦が続くスーダンの都市エル・ファシールに人道支援物資を運んでいた国連機関の車列が2日夜に襲撃を受け、職員5人が死亡した。
国連機関によると、襲撃は同国西部の北ダルフール州エル・コマ付近で発生。複数の負傷者も出たほか、複数のトラックが焼失したという。
内戦で対立する準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」とスーダン国軍は、互いに、相手が国連車列をドローン(無人機)で攻撃したと非難している。
国連は襲撃の手段について明言していないが、速やかな調査の実施と加害者の責任追及を求めている。
襲撃を受けたのは、世界食糧計画(WFP)と国連児童基金(ユニセフ)のトラック15台の車列。両機関は、「飢餓に直面する」エル・ファシールに物資が届かなかったことは「悲惨だ」と述べた。
エル・ファシールは北ダルフール州においてスーダン軍の支配下にある最後の主要都市。市民および軍関係者が1年以上にわたり、RSFから攻撃されている。
WFPとユニセフは共同声明で、車列は同市の子どもや家族に対し、命を守るための食料および栄養補給品を届けようとしていたところを襲撃されたと説明した。
襲撃後、地元のボランティア団体「エル・コマ緊急対応室」は、支援物資を積んだトラックが焼け焦げているのが映っている動画をフェイスブックに投稿した。同団体はこの襲撃について、スーダン軍の関与を非難している。
RSFが支配するエル・コマは、同部隊とスーダン軍の間で武力衝突が続く中、たびたび攻撃の標的となってきた。
市内への攻撃により、市民に死傷者が出ており、重要なインフラにも被害が生じている。
「エル・コマ緊急対応室」によると、1日にスーダン軍の戦闘機による空爆があり、少なくとも89人が死亡または負傷したという。スーダン軍はこの非難に対してコメントしていない。
現地紙スーダン・トリビューンによると、空爆はエル・コマのにぎわう市場を直撃したとされている。
2年以上前に始まったスーダンの内戦は、世界最大級の人道危機を引き起こしている。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のユジン・ビョン報道官は3日、今回の紛争の開始以降、400万人以上が避難を余儀なくされているたと述べた。
この内戦は、2023年にスーダン軍とRSFの間で激しい権力闘争が勃発したことにより始まった。
両勢力はかつて、スーダンの民主化移行を妨害するために共にクーデターを起こしたが、その後、指導者同士の対立が表面化した。
(英語記事 Five killed in attack on UN aid convoy in Sudan)
(c) BBC News