深川麻衣、映画『ぶぶ漬けどうどす』で京都の「本音と建前」に翻弄される主人公を語る

女優・深川麻衣が、京都を舞台にしたシニカルコメディー映画『ぶぶ漬けどうどす』(冨永昌敬監督、6月6日公開)で主演を務める。2016年の乃木坂46卒業後、俳優として着実にキャリアを重ねてきた彼女が、本作で演じるのは京都に嫁いだフリーライター。京都独特の「本音と建前」に戸惑いながら奮闘する主人公を、どのように作り上げていったのか、そして奇想天外だったという撮影現場の舞台裏について語った。

映画『ぶぶ漬けどうどす』で主演を務める女優・深川麻衣。ユーモアあふれる役柄への期待が高まる姿。映画『ぶぶ漬けどうどす』で主演を務める女優・深川麻衣。ユーモアあふれる役柄への期待が高まる姿。

京都に恋焦がれた主人公、そして複雑な人間模様

映画『ぶぶ漬けどうどす』は、脚本家アサダアツシによる完全オリジナル作品だ。地元“京都人”と“ヨソさん(よそ者)”が織りなす「本音と建前」の攻防をユーモラスに描く。深川麻衣演じる主人公・澁澤まどかは、京都を愛するあまり老舗扇子店に嫁いだフリーライター。友人のマンガ家(小野寺ずる)と共に、義母である老舗の女将・澁澤環(室井滋)や老舗料亭の女将・竹田梓(片岡礼子)らへの取材を通して、老舗の暮らしぶりをコミックエッセイにしようと奔走する。しかし、伝統を守ろうとする彼女の行動が、かえって女将たちの反感を買い、京都の「本音と建前」に翻弄されてしまう。真意を伝えようと試みるが、事態はさらに思わぬ方向へ。夫・真理央を大友律、まどかを応援する大学教授を若葉竜也、不動産業者を豊原功補が演じ、実力派俳優陣が脇を固める。

役作りと現場での気づき

深川は、自身とはあまり似ていないという主人公・まどかの役作りについて、「台本から『なぜ彼女は京都や澁澤家にここまで惹かれたのだろう?』と想像を膨らませました」と語る。同時に、彼女の言動に「あまり意味を持たせすぎない」ことを意識したという。「普段の行動に意味を深く考えることは少ないですよね。まどかも考え過ぎない方が面白くなるかなと思って」と自然体で臨んだことを明かした。撮影が始まると、冨永監督の「意表を突く」演出が多く、その度に驚きを感じたという深川。その現場での戸惑いが、「京都に翻弄されるまどかの心境とリンクしていた」と振り返る。

冨永監督の奇想天外な演出エピソード

冨永監督から熱烈なオファーを受け出演を決めた深川だが、現場では監督のアレンジによって登場人物の描写に深みが増していったことに衝撃を受けた。「いつも丁寧語で話す若葉さん演じる中村先生の口調は、台本では普通だったんです。だけど本読みの時、冨永さんが突然、『(語尾を全部)ですよ、に』と言い出して(笑)」と、監督のユニークな発想を語る。その一言で、先生の変わり者ぶりが際立ち、より面白くなったという。まどかのシーンも、監督のアレンジでどんどん変化していき、撮影を楽しめたと語る。

一番印象に残っているシーンとして挙げたのは、「鳥居」のエピソードだ。「道に立ち小便禁止の意味でミニチュアの鳥居が置かれていて、まどかがそれを拝む場面があるんです」。最初は拝むだけだったが、監督の「持って帰りましょう」の一言で、その鳥居を澁澤家に持ち帰る展開になったという。「おかげで、その次のお義母さんとのシーンで、鳥居が悪魔祓いの十字架のように見えて。お家を守りたくて必死になっているまどかの焦燥感が強く伝わったと思います」と笑顔で明かした。個性豊かなスタッフや俳優との掛け合いを通して、撮影を心から楽しんだ様子がうかがえる。

俳優への道

深川麻衣は、もともと芸能界に興味を持ち、専門学校を経て2011年に乃木坂46の1期生オーディションに合格。約5年間の活動の中で、クリエイティブな映像制作に魅せられ、グループ卒業後に俳優の道を志した。

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