備蓄米試食会、高騰米価と国民の怒り:小泉進次郎氏らの「アピール」が招いた波紋

農林水産大臣の小泉進次郎氏は5月29日、令和3~6(2021~2024)年産の備蓄米で作られたおにぎりの試食会に出席し、「率直に僕はどれを食べてもおいしくいただけます」とコメントしました。しかし、令和3(2021)年産の古米については「ちょっと硬いかな」とも述べています。この試食会は、高騰する国内米価の状況下で行われ、国民の注目を集めています。

政治家たちの備蓄米「アピール」とその波紋

6月2日には、自民党の森山裕幹事長をはじめとする党幹部らが、令和4(2022)年産米の備蓄米を試食しました。彼らは口々に「新米と同じような感じだ」「おいしい」「十分に楽しめる味だ」と述べ、備蓄米の品質を強調しました。森山氏は「食味が保たれている。備蓄米が高い技術で保管されていることを実感した」と述べ、保管技術の高さを称賛し、国民に備蓄米をアピールしました。

しかし、こうした政治家たちの積極的な「アピール」に対し、SNS上では国民から厳しい批判や怒りの声が多数寄せられています。「じゃあアピールの一回だけじゃなく毎日食べてみたらどうですか?」「なんだか胡散臭い食レポですね」といった、その場限りのパフォーマンスではないかという疑念の声が見られます。さらに、「非常時でもないのに備蓄米なんか食べさせないようにするのが、あなた達の仕事ではないんですか?」と、政府の政策への疑問も呈されています。

国民の怒りの背景には、現在の米価高騰があります。農林水産省が公表している全国のスーパーにおける米の販売価格によると、5月12日から18日までの1週間の平均価格は、5キロあたり消費税込みで4285円と過去最高を記録しました。翌週は若干値下がりしたものの、依然として高値が続いています。

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こうした国内の状況とは対照的に、海外で日本産米が安価で販売されている事例が国民に衝撃を与えています。例えば、台湾のコストコで日本のあきたこまち5キロが約2600円で購入できるというSNS投稿(5月8日)は広く拡散され、「台湾で日本の米買った方が安いのはなぜ…」という疑問が噴出しました。テレビ朝日系の『羽鳥慎一モーニングショー』では、この価格差について、去年の春から夏にかけて国内価格が2000円台だった時期に契約・輸出されたコメが現在海外で店頭に並んでいるため、と報じられました。

農林水産大臣として備蓄米のおにぎりを試食する小泉進次郎氏農林水産大臣として備蓄米のおにぎりを試食する小泉進次郎氏

本来、備蓄米は災害や有事の際に国内に供給するためのものです。100万トンあった備蓄量は、すでに61万トンが放出され、現在は30万トン台まで減少しています。もし今後、大規模な災害などが発生した場合に政府はどう対応するのか、減少した備蓄量をどのように再び確保するのか、国民への明確な説明が求められています。政治家たちが備蓄米を試食して品質をアピールする以前に、現在の深刻な米不足と価格高騰を招いた自身の政治手腕を深く反省し、抜本的な対策を講じるべき時期に来ています。

【出典】

  • 全国紙記者への取材
  • テレビ朝日系『羽鳥慎一モーニングショー』での報道
  • SNS上の投稿