シチリアマフィア元ボス、ジョバンニ・ブルスカが保護観察終了で完全に自由の身に

イタリアのシチリアマフィアで「カパーチの屠殺者」として知られる元ボス、ジョバンニ・ブルスカ氏(68歳)が、保護観察期間を終え、全ての法的制限から解放されたことが明らかになりました。イタリア日刊紙ラ・レプッブリカが報じました。

保護観察終了と現在の状況

ブルスカ氏は現在、シチリアから離れた非公開の場所に身を隠し、偽名を使っていると報じられています。2021年に仮釈放で出所して以来、4年間の保護観察下にあったブルスカ氏ですが、保護観察の終了に伴い、夜間外出禁止(午後8時~午前8時)や週3回の警察署への出頭義務など、これまでの法的制限がすべて解除されました。

悪名高き「カパーチの虐殺」

ブルスカ氏は、100件以上の殺人に関与したとされる人物です。中でも最も悪名高いのは、1992年5月23日にシチリア島パレルモ近郊のカパーチ高速道路で実行されたテロ行為です。この事件で、反マフィア裁判官として著名だったジョバンニ・ファルコーネ氏とその夫人、そして彼らを警護していた警察官3名が暗殺されました。ブルスカ氏は、道路下の排水管に仕掛けた爆弾を遠隔操作で爆破させるという手口を用い、「カパーチの屠殺者」として世界に悪名を轟かせました。ファルコーネ氏は、1986年から約6年間行われた世界最大級のマフィア裁判「マキシ裁判」を主導した中心人物でした。

残酷な他の犯行

さらにブルスカ氏は、組織を裏切り警察に協力した構成員の11歳の息子を誘拐・殺害し、遺体を酸性溶液に溶解させて証拠を隠滅するという、極めて残虐な犯行にも手を染めています。この事件は、マフィアの冷酷さを象徴する出来事として語り継がれています。

逮捕、服役、そして協力による減刑

1996年に逮捕されたブルスカ氏は、当初終身刑を宣告されました。しかし、2000年以降、検察への協力を通じて数多くのマフィア構成員や重要犯罪の情報を提供したことが認められ、刑期が25年に減刑されました。そして2021年に仮釈放で出所し、今回の保護観察期間終了に至り、完全に自由の身となりました。

1996年逮捕当時のシチリアマフィア元ボス、ジョバンニ・ブルスカ1996年逮捕当時のシチリアマフィア元ボス、ジョバンニ・ブルスカ

悪名高いシチリアマフィアの元ボスであるジョバンニ・ブルスカ氏が、全ての法的拘束から解放された今回の出来事は、イタリア社会に再び議論を呼んでいます。

出典:ラ・レプッブリカ