【ロサンゼルス=後藤香代】米国のトランプ大統領は7日、米カリフォルニア州ロサンゼルスに州兵2000人を派遣する大統領覚書に署名した。連邦当局が6日にロサンゼルスで実施した不法移民の摘発作戦を巡り、抗議者の一部が暴徒化したことを受けた措置だが、州は反発している。
トランプ氏は7日、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「カリフォルニア州知事とロサンゼルス市長が職責を果たせないのなら、連邦政府が介入して問題解決に当たるべきだ。それが暴動と略奪に対処する方法だ」と投稿した。
ホワイトハウスのキャロライン・レビット大統領報道官も7日の声明で、ロサンゼルスが「無法状態」にあると指摘し、「州の無責任な民主党指導部は、市民を守る責任を完全に放棄した」と批判した。ヘグセス国防長官はX(旧ツイッター)に「暴力が続くようであれば、海兵隊員も動員される。彼らは最高警戒態勢にある」と投稿した。
これに対し、ギャビン・ニューサム州知事はXで「連邦政府は混乱をあおり、事態をエスカレートさせようとしている。文明国として取るべき行動ではない」と反発した。「(州兵派遣は)警察の不足が原因ではなく、単に見せ物にしたいだけだ」とも述べた。
州兵は通常、州知事の指揮下にある。連邦法は反乱を鎮圧するため、大統領に州兵を派遣できる権限を付与しているが、知事の反対を押し切ってまで派遣する事態は異例だ。
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、ロサンゼルス近郊では7日も抗議のために集まった人々が石や瓶を投げるなどしたため、当局が催涙ガスを使って解散を命じた。負傷者や逮捕者が出たとの情報もある。
ロサンゼルスのカレン・バス市長はXで「誰しも平和的に抗議する権利はあるが、暴力と破壊は絶対に容認できない」と住民らに冷静な対応を呼びかけた。