[エルサレム/アシュドド 9日 ロイター] – イスラエル軍は、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんらを乗せて物資を届けるためにパレスチナ自治区ガザに向かっていた支援船に乗り込み、拿捕(だほ)した。運航する親パレスチナ団体「自由の船隊連合(FFC)」が9日未明に明らかにした。
英国船籍の「マドリーン号」は6日にイタリアのシチリア島を出発し、9日にガザに到着する予定だった。FFCは船が拿捕されたとテレグラムで発表した。イスラエル外務省はその後、船がイスラエル軍の管理下にあることを確認した。
外務省は「『セレブ』たちの『セルフィーヨット』は無事イスラエル沿岸へ向かっている。乗客はそれぞれの母国へ帰国する予定だ」とXに投稿した。
乗客全員が無事で負傷者はいないとし、「サンドイッチと水が提供された。ショーは終わりだ」とコメントした。
FFCが拿捕を明らかにする前、イスラエル外務省は海軍が拡声器でマドリーン号に進路変更を促す動画をXに投稿していた。
イスラエルのカッツ国防相は8日、「私は国防軍にマドリーン号をガザに到着させないために行動することを命じた。反ユダヤ主義のグレタとイスラム組織ハマスのプロパガンダを広める彼女の仲間たちに向かって私ははっきりと言う。ガザには決してたどり着けないのだから、引き返すのが得策だと」と語った。
グレタさんは、イスラエル側の反ユダヤ主義者という批判を一貫して否定している。
ヨットにはコメや粉ミルクなど少量の支援物資が積載されていた。イスラエル外務省は「ヨットに積載され、『セレブ』が消費しなかったわずかな支援物資は、正規の人道支援ルートを通じてガザ地区へ輸送される」と記した。
イスラエルは2007年にイスラム組織ハマスがガザを実効支配した後、沿岸地域に海上封鎖を実施。カッツ氏は、海上封鎖についてハマス殲滅を進めるイスラエルの国家安全保障上不可欠な措置だと主張。「イスラエルはガザにおける海上封鎖を突破することを何人たりとも認めない。封鎖の主要な目的は、ハマスへの武器搬入を阻止することにある」と説明した。
カッツ氏は2023年10月7日にハマスがイスラエルを攻撃した際の残虐行為の映像を船の乗員に見せるよう指示したと語った。
ハマスは拿捕を「国家テロ」であると非難し、グレタさんらの行動を称賛すると述べた。