米国のケネディ厚生長官は9日、政府のワクチン政策に助言する疾病対策センター(CDC)の諮問委員会のメンバー17人全員を解任した。今後新たな委員を選ぶ。ケネディ氏は米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)への寄稿で「ワクチンへの賛否にかかわらず、国民の信頼を取り戻す必要がある」と主張した。
医学や公衆衛生の専門家で構成される諮問委はワクチンの安全性や有効性に関するデータを検証し、保険適用に影響する勧告などを行う。ケネディ氏は寄稿で委員らに「永続的な利益相反」があることを理由に挙げた。ただ米メディアによれば、各委員は製薬企業などとの関係を開示する義務があり、選任に当たっては重大な利益相反がないか慎重に審査されてきたという。
AP通信は「無数の命を救った(諮問委の)信頼を損ない、透明性を覆す決定だ」と批判する米医師会のスコット会長の声を伝えた。
ニューヨーク・タイムズによれば、厚生長官にはCDCの諮問委メンバーの選任権と解任権がある。同紙は反ワクチン活動家だったケネディ氏が自身の考えに近いメンバーを指名すれば、小児を含むワクチン推奨の方針が大きく変わる可能性があると報じている。【ニューヨーク八田浩輔】